北海道の幹線道路に「中央分離帯が少ない」ワケ 道幅広いけど対面通行なのは土地柄?

北海道では、市街地を中心に、片側2車線以上の広い道路でも中央分離帯が無い場合が多いです。なぜこのような傾向があるのでしょうか。

北海道だからこその道路構造

 北海道の道路は、高速道路や国道のすぐ側に馬や牛の牧場があったり、同じ交差点の中でも、信号機によって「交差点名表示」が異なっていたり、本州とは違う独特の特徴があります。
 
 そしてもうひとつ、北海道の幹線道路は基本的に中央分離帯がないところが多いのも特徴です。片側2車線以上の幹線道路でも、中央分離帯がなく、白い実線が中央線の目印となっています。それには北海道の「土地柄」ゆえの理由があります。

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北海道の幹線道路(画像:写真AC)。

 北海道は、日本だけでなく世界でも有数の豪雪地帯です。例年10月下旬~11上旬には初雪が舞い、札幌でも年間で500cm近くの雪が毎年降ります。人口が180万人を超える都市でこれだけの雪が降るところは世界でも珍しいとされています。

 雪の量が多い時は、1m以上積もることもあり、そうなると道路は除雪が必要になります。札幌市では、ひとたびまとまった雪が降ると、除雪車約1000台を約3000人で稼働させて深夜から早朝に除雪を行います。除雪車全体で約5400km走行するといわれており、1回の作業も大がかりなものとなります。

 その際、除雪した雪はトラックで運ばれる分と、道路の両端に寄せられる分があるのですが、後者の作業の際、中央分離帯が支障となってしまうのです。そのため、除雪がきめ細かに行われる市街地では中央分離帯があまり見られず、逆に郊外区間の幹線道路では、中央分離帯が設置されているところが多いという傾向にあります。

 なお中央分離帯がない幹線道路では、交差点以外の場所でも右折が可能な構造になっています。対向車の急な右折にも気をつけたいところです。

 同じ理由で、北海道では基本的に道幅が広めで、いわゆる路地と呼ばれる道路でも4トントラックが余裕ですれ違いできる場所が多数あります。広大な土地を活かし、除雪で路側に寄せられた雪の山を想定して設計されているのです。

その他にも雪国ならではの特徴が

 その他にも北海道の道路では、雪国らしい対策や工夫が施されています。

【「↓」看板】
 道路の両端の上空部分に「↓」の紅白で表示されたポールがいくつか見受けられます。

 これは車道と路肩の境目を表すものです。通常は地面に敷かれている白色の実線で認識できるのですが、雪が積もれば見えなくなるため、上空に設置されたこの「↓」看板を頼りに走行します。

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雪による影響を知らせる矢羽根(2012年10月、恵 知仁撮影)。

【グーパー標識】
 北海道や東北・北陸など豪雪地帯で見られる標識です。青と黄色の2色で表示されている標識には、四角形のものと十字形のものが存在します。

 これは「投雪禁止区域」を表す標識で、ロータリー除雪車が除雪した雪を路外に飛ばしてはいけない区域に設置されている標識です。グーが区域のはじまり、パーが区域の終わりを意味します。

【ロードヒーティング】
 道路の地下に発熱設備を整備し、路面の凍結を防ぐものです。電熱線や熱パイプなどを敷いて、積もった雪を溶かします。路面の温度は常に雪が溶ける1~2度に保たれていて、道路だけでなく、自宅の玄関前や駐車場などに自費で設置するケースもあります。

 ロードヒーティングは東北や北陸でもよく見られますが、そのほとんどが「パイプに温水を流す」もの。北海道ではそれに加え「電熱線で直接温める」タイプもあります。

【了】

【確かに?北海道の「中央分離帯が無い」大通りの風景】

Writer: のっぴー(運転を愛してやまないドライブロガー)

山梨出身の運転歴13年で、車の運転がとにかく大好き。運転で得た知識や経験を発信することにより、実用的で効果のある運転方法や快適で楽しいドライブプランを読者に伝える、「のっぴードライブログ」を運営中。

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コメント

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1件のコメント

  1. 積雪期の写真がないので、記事内容がわかりにくい。冬季も実地取材したエビデンスが欲しい。