「胴体後ろにエンジン」の旅客機は何がよかった? その元祖「カラベル」 ヒットの背景に不遇な“兄”
かつてトレンドだった胴体後部にエンジンを配置する「リア・ジェット」のスタイルの旅客機、この元祖的存在が「シュド・カラベル」です。実は、同機の設計のユニークなところは、エンジンだけではありませんでした。
「リア・ジェット」の祖先
現在、ある程度大きいサイズのジェット旅客機では、主翼の下にエンジンを配置する形態がもはや一般的ではあります。その一方で、いまやビジネス・ジェットくらいでしかほとんど見なくなってしまいましたが、かつては、胴体後部にエンジンを配置する「リア・ジェット」のスタイルの旅客機も、多く見られました。この「リア・ジェット」の祖先はフランスのシュド・アビアシオンが開発した「カラベル」という旅客機といえるでしょう。
「リア・ジェット」は、胴体とエンジンの距離が近いことから、エンジン音や振動が伝わりやすく、客室後部の快適性が低くなる可能性がある一方で、主翼下にエンジンがないため、胴体を低く地面に近づけ、脚を短くすることができます。
機体が低いぶん、機体備えつけの簡易的な階段などで乗降でき、設備の整っていない空港へも就航できます。また、スタッフにとっても、翼や胴体が低いので、給油の負担が少なくて済むというメリットもあります。
「シュド・カラベル」は、1955年4月21日に試作1号機が完成し、5月27日に初飛行に成功します。このシリーズは、エール・フランスやスカンジナビア航空をはじめ、ユナイテッド航空やタイ国際航空などで採用され、280機近くが製造されるヒット機となりました。
ただこの機体が独特なのは、なにもその形状だけではありません。
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