「胴体後ろにエンジン」の旅客機は何がよかった? その元祖「カラベル」 ヒットの背景に不遇な“兄”
「シュド・カラベル」のびっくり設計
実はこの「シュド・カラベル」には“兄”がいます。世界初のジェット旅客機、デ・ハビランド「コメット」です。ただしリア・ジェットではなく、エンジンは主翼に埋め込まれています。
一方で「シュド・カラベル」のコクピットの計器配置や窓の形状や枚数といった機首部分の設計は、「コメット」のものを流用しています。これにより開発にかかる時間的・金銭的なコストを減らすことができました。
「コメット」はその斬新すぎた設計ゆえに航空事故も多く、商業的な成功作とはなりませんでしたが、その設計を引き継ぐ“弟”の「シュド・カラベル」は長いあいだ運航されることになりました。
「シュド・カラベル」がデビューしたあと、1963年にボーイングから727(ただし3発エンジン)、1965年にダグラス社からDC-9など、同じような配置とキャパシティをもったリア・ジェットがトレンドとなりました。日本のエアラインも「シュド・カラベル」を国内線用機材として検討しましたが、結局採用とはならなかったとか。
日本では、1970年代ごろまで、羽田や伊丹、福岡空港などで海外航空会社の「シュド・カラベル」を見ることができたと記録されています。
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