どこまで盛るの? 海自新型艦艇「イージス・システム搭載艦」は想像以上に多機能化へ

混迷をきわめるイージス・システム搭載艦

 イージス・システム搭載艦の建造が計画されるに至った経緯に照らして考えてみると、今回の報道内容には非常に重要なポイントがいくつか存在します。

 まず挙げられるのは「多機能化」です。そもそも、イージス・システム搭載艦に求められていたのはイージス・アショアの代わりに弾道ミサイル防衛に従事する能力で、いわば「単機能」な艦艇になるはずでした。そのため、同じく高度な防空システムであるイージス・システムを搭載しつつ、幅広い役割を担うことができる「イージス・システム搭載護衛艦(海上自衛隊でのイージス艦の正式名称)」と区別される形で、「イージス・システム搭載艦」という名称が与えられたのです。

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ポーランドに建設された「イージス・アショア」(画像:アメリカ海軍)。

 ところが、報道内容が事実であるとすれば、長射程の巡航ミサイルによる対艦・対地攻撃能力の付与や、SM-6による巡航ミサイルの迎撃など、イージス・システム搭載艦は弾道ミサイル防衛にとどまらない「多機能」な艦艇に変化することになります。これでは、わざわざイージス艦と区別した意味がありません。

 また、特にSM-6による巡航ミサイルへの対処は、北朝鮮というよりもむしろ中国を念頭に置いたものといえます。確かに北朝鮮も巡航ミサイルを開発中ですが、中国はすでに日本を射程に収めるさまざまな巡航ミサイルを配備しています。そうなると、そもそも北朝鮮の脅威に対処するものであるはずだったイージス・システム搭載艦が、中国の脅威にも対処するものになってくるわけです。

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コメント

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7件のコメント

  1. 元々地上イージスだって中SAM+警備中隊の24時間監視が必要なんだから大げさに騒ぐことも無い。開き直って思いっきり多機能化して海上の移動要塞化するべきだろう。これを鎮守府として各地方隊に配備してEEZ内を巡回させればそれなりに強力な防空能力が実現できる。そうすれば削減できる部隊が陸海空で発生するから人員の問題も解決できる。

  2. 単艦で自己防衛も含め全てを詰め込んだら、いずも型を越える排水量になりそう。
    ミサイル防衛と敵基地攻撃は、射点が違うのでは無いだろうか。

  3. 海上に置く以上は自己防衛以上の作戦能力が求められて当然だと思います。
    そうでなければSPY-7レーダーを守るだけで護衛艦2隻以上付けなければいけないと思います。

    もしくはメガフロートで要塞化して竹島あたりに置くのもいいかもしれません。

  4. 隊員の人員繰りがままならない現状を考えると、使い道があやふやな大型艦船を海自に配備する訳にはいかないでしょう。立地や迎撃ミサイルのブースター問題を改めて再定義して「陸上イージス」に戻すべきですね。

  5. 陸上に設置するメリットをわからずに、「ミサイルもりもりなんだから良いじゃん!」みたいな反応が多すぎて困る。
    例えば育児中のママが子供を保育園に預けながら陸上イージスの任務に携わる。身体を故障したり病気になったりした人でも携われる。多少歳をとった人でも任務にあたれる。
    「陸上に設置し、通勤を許す(=家に帰れる)」というのはそういうメリットがある。これは艦艇にはできないし、艦艇への適合性のある人材を艦艇へしっかり振り分けながら全体的に自衛隊の能力を強化することへも繋がる。
    そういうことなんですわ。

  6. 既製品を流用した大型艦……。なるほどイギリス最後の戦艦“ヴァンガード”みたいなことか。
    スペック面では優秀かつデカいから、メディア映えするし。防衛費2倍だからこんな滅裂なことにも使えるよ。

  7. 税金税金。
    ガソリン代や消費税やワケわからん税金イベントで取られた金を使って戦争ごっこかよ。
    戦争したいなら、勝手にやれ。
    お前らに米も何も与えてやらねーよ。
    戦争終わったらお前らが一人もいなくなっているのが、戦争終結だ。
    戦争をする意味だ。
    分かったら黙って居なくなれ。