まさに“災い転じて…” ANAのユニーク機「トライスター」がここまで愛されたワケ 裏には革新的設計?

ロッキードが手掛けた旅客機L1011「トライスター」は、国内に多くのファンがいる機体です。その背景には、導入会社であるANAのストーリーと、その先進性が関係していました。

先進性たっぷりに作り“巻き返し”へ

 米国のロッキード(現ロッキード・マーチン)社が唯一つくったジェット旅客機で、かつ同社最後の旅客機となったL1011「トライスター」。1970年11月16日に初飛行したこの機体は、日本で導入したのはANA(全日空)だけだったものの、特徴的な中央エンジンの配置も相まって、日本の航空ファン、そして筆者も忘れられない機体です。ただこの機がさまざまな人をひきつけてやまないのは、同機のストーリーゆえなのかもしれません。

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ANAのロッキードL1011「トライスター」(画像:ANA)。

「トライスター」を開発する以前のロッキード社は、ターボプロップ旅客機「エレクトラ」の不人気などから、旅客機市場では他社に出遅れてしまっている状況でした。そのような、巻き返しを狙ったのが「トライスター」です。

「トライスター」はロッキード社の先進技術の採用に積極的な社風も加わり、離陸直後から着陸までをすべて可能にした自動操縦装置など数々の新しい技術を採用していました。

 また、同型機に使われたロールス・ロイスの「RB211」や、ライバル機だったダグラスDC-10のCF-6をはじめとする、直径の大きなターボファン・エンジンは、吸い込む空気の流れに敏感です。DC-10は中央エンジンのダクトを直線にしましたが、トライスターでは尾部へカーブしてつながり、まるでその姿は、優雅なヒップラインを描いているようでした。

 特徴的なエンジンは、カーブした分、直線的なエンジンと比較して、空気の流れを制御するより高い技術が必要でした。その一方で、左右主翼下のエンジンと中央エンジンの排気口が、ほぼ同じ高さになったことで推力軸線の上下の差が小さくなり、効率の良い飛行が可能になりました。また、直線的な中央エンジンを搭載する三発機と比較して、方向舵の面積を確保することもでき、飛行の安定性向上にもつながっています。

 このように高い技術が用いられ、高い性能をもった「トライスター」でしたが、日本国内、つまりANAで導入された当初は、紆余曲折がありました。

【超貴重!】期待感スゴイ! 「トライスター」導入時のANA時刻表

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コメント

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1件のコメント

  1. トライスターの混雑した便で棚の取り合いで怒鳴り合いになりかけたのを見たことがあり、客室設備のデザインとしては赤点というのが客としての勝手な感想。
    センター席の頭上にも棚のある767には、それだけでも大改善に感じた。

    ロッキード社はやはり軍用機屋さんだな。