「山万ユーカリが丘線」40年越しの新型車導入なるか…実は前から検討? “日本唯一の方式”ゆえの悩みも
千葉県の住宅街に「ユーカリが丘線」が全線開業して今年で40年。実は運営会社の山万は、かねて新型車両の導入を検討しています。車両だけでなくシステムも含めた更新も選択肢にしているそうですが、今後はどうなるのでしょうか。
安全報告書に「新車両等の検討」を明記
千葉県佐倉市の住宅街で鉄道(新交通システム)「ユーカリが丘線」を運営する山万は2023年6月30日、「2022年安全報告書」を公表し、そのなかで「新車両等の検討」を行うことを盛り込みました。実は山万、同線の車両更新を長期間にわたって検討してきたそうです。
ユーカリが丘線は、ラケット型一方通行の路線や、「女子大」「中学校」といったストレートな駅名などユニークな点でも知られます。車両は1982年に登場した1000形で運行されていますが、登場から40年以上経過しています。また、この車両は非冷房のため、毎年夏には乗客に少しでも暑さをしのいでもらうべく、おしぼりを車内で配布する「おしぼり列車」を運行するなどしています。
この路線は日本で唯一、「VONA」という新交通システムを採用しています。この方式は三井物産と日本車輌が開発し、ゆりかもめなど他の新交通システムが軌道の両側に案内軌条を設置しているのに対して、軌道の中央に案内軌条を設けていることが特徴です。
愛知県小牧市を走っていた桃花台新交通桃花台線も「VONA」を採用していましたが、廃止されてしまったため、現在はユーカリが丘線のみが残っています。そのため、ユーカリが丘線専用となる車両部品が存在するなど、苦労もあるといいます。
2022年の安全報告書では「車両更新の検討」以外にも「駅務機器更新の検討」や「信号保安設備更新の検討」が盛り込まれています。ただ、安全報告書に「車両更新の検討」が記載されたのは今回が初めてではありません。古くは2011年の安全報告書にも、「新システムの検討」の一環として「車両更新の検討」を行う方針が記載され、車両だけではなく、システムを含めて検討が行われてきた経緯があります。
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