たった1両だけ製造「特殊用途のE5系新幹線」とは “一度も走ったことがない” 異端車両
東北新幹線のE5系は、現在も増備が続く形式ですが、1両だけ特殊な用途で新造された車両があります。どのような車両なのでしょうか。
「展示するためだけに」新造されたE5系
2011年3月に東北新幹線でデビューしたE5系電車は、国内最速の320km運転や、グリーン車を上回る豪華な「グランクラス」を備えることなどが特徴です。以来、東北・北海道新幹線で主力車両として活躍しているE5系に、1両だけ変わった用途で製造された車両があります。
それが、さいたま市の鉄道博物館に展示されているE5系です。鉄道博物館は現役を退いた車両を展示していますが、E5系は現在も増備が続いており、引退した車両はありません。そのため、鉄道博物館に展示するためだけのモックアップ(実物大模型)として製造されました。
この車両は新青森方の先頭車両で、2017年に日立製作所で新造。2018年にオープンした鉄道博物館の南館に展示されています。実際に営業運転しているE5系は「U1」編成から製造されていますが、それと被らないように「U0」編成に。車番は「E514-9001」となっています。
モックアップと言えども、走行機器類がないこと以外は「本物」と同じ。そもそもE5系は床下がカバーで覆われているため、走行機器類がないことも気づきません。もちろん「グランクラス」やデッキなどの内装もしっかり再現されています。
走行しないにも関わらず、車体側面のフルカラーLEDに行き先を表示したり、停車駅をスクロール表示させることも可能。鉄道博物館の展示車両の中でも、実際に動いているかのような雰囲気を醸し出しています。通常は外観のみ見学可能ですが、車内の案内表示装置も実車同様に稼働させることができるようになっています。
【了】
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