ハイエースより万能? 日本上陸した欧州の「ド定番商用バン」使い道は変幻自在! キャンピングカー界から飛躍なるか
欧州製・巨大ボディで受け止める! そんなニーズとは?
会場で見つけたのは、2台のビジネス向けモデル。日本での使い勝手を考慮してか、ベースは導入仕様ではショートホイールベースとなる「L2H2」がベース。それでも全長は5410mmあります。
ひとつはイタリア・デロンギが手掛ける業務用大型全自動コーヒーマシン「エバシス」を取り扱うパスファインダー社の移動ショールームです。車両内部は、キッチンとコーヒーマシンが設置されていて、様々な場所に出向き、コーヒーの試飲やコーヒーマシンのデモンストレーションが行えるようになっています。
もうひとつは、上記の移動ショールームを手掛けた「トイファクリー」のデモカー。ドイツの「bott」による車載用キャビネット(棚類)を搭載し、自転車メンテナンスカーに仕立ててありました。
車内設置を前提に設計されたキャビネットだけに、メンテンナンスで必要なパーツや工具を効率よく収めながら、しっかりと作業スペースも確保されています。肝となる車載設備を手掛けたbott社は、このような車載用キャビネットに加え、工場設備やワークステーションなどを手掛ける1930年創業の老舗メーカーで、欧州を中心に展開しています。
このようにデュカトは、新たな活躍の場も模索されていますが、もちろん、課題もあります。
そのひとつが、正規ディーラー体制です。デュカトの販売やメンテナンスの窓口になるフィアットプロフェッショナルディーラーは、全国5社5店舗に限られており、整備拠点も協力工場を合わせて全7拠点にすぎません。その背景には、同じフィアットの乗用車を取り扱うフィアットディーラーの整備工場では、デュカトをメンテンナンスできる大型リフトなどが設置されていない、あるいは設置が難しいなどの現状があります。現在もデュカトの新車ディーラーを担うのは、国内キャンピングカーメーカーの5社のみとなっています。
新車販売会社からすれば、デュカトを取り扱うフィアットプロフェッショナルの新車ディーラーの基準を満たすために必要な投資を考慮すると、バンの新車販売とメンテナンスだけではビジネスとして厳しいと見る向きもあるのでしょう。もっとも、デュカトベースのキャンピングカーは高級車であり、ビジネスカーとしてみても、サイズの違いなどあれどハイエースやキャラバンと比べると高価です。そのため、よりこだわりの強い個人や会社向けの特別なクルマであることは共通していますが、日本車にはないスタイルや大きさ、機能などを武器に、その活躍の場を広げていくでしょう。
【了】
Writer: 大音安弘(自動車ライター)
1980年生まれ。埼玉県出身。クルマ好きが高じて、エンジニアから自動車雑誌編集者へ。その後、フリーランスになり、現在は自動車雑誌やウェブを中心に活動中。主な活動媒体に『ナビカーズ』『オートカーデジタル』『オープナーズ』『日経トレンディネット』など。歴代の愛車は全てMT車という大のMT好き。
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