中国「米国産旅客機の丸パクリではありません!」本当? 「ARJ21」ベース機からの変化は
「ヒゲ」から見える2モデルの相違点
旅客機は長距離を水平飛行する際は、わずかに機首を上げます。ARJ21はこの機首上げ姿勢に合わせて、管が気流にまっすぐ向くようにしていると、筆者は推測しています。そうなると、MD-90と水平飛行中の姿勢が異なることも意味し、あながち完全なるコピー機ではない、ということになるでしょう。
また、ARJ21の主翼は、実はウクライナのアントノフが設計した新しいものを採用しているとされています。
MD-90は1960年代に開発された「DC-9」というモデルの派生型にあたります。つまり基本設計自体はかなりクラシカルで、新しく設計した主翼を付けたとしても不思議ではありません。
新しい主翼の特性や、最適な取り付け角度がMD-90 から変わった結果、飛行姿勢も異なるようになり、管の取り付け場所も角度も変わったのかもしれません。それならば、コピーでなく自分たちで設計したとも主張できます。
ただ、シンガポール航空ショーでは機内は公開されず、接するほど近づいて観察はできませんでした。このため、速度計測装置の違いから、ARJ21がコピーでないと判断するのも早計です。
中国が今後とも、今後も速度計測用の管を機首脇に付けた設けた理由も含めて自ら相違点を多く語らなければ、これまで通りARJ21はMD-90シリーズのコピーと、世界的にはみなされ続けることでしょう。
なお、ARJ21はこれまでほぼ国内運航に限っていた姿勢を一転させて、シンガポール航空ショーで計3機を展示するという大盤振る舞いを見せました。これは、中国が今後、この機を海外へ積極的に売り込むと見て間違いありません。
【了】
Writer: 加賀幸雄(旅行ライター)
日本各地の名産や景勝に興味があり、気ままに目的地を決めて2泊3日程度の 小旅行を楽しんでいる。
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