「翼にジェットエンジン載っけた」異形NASA機、実は元プロペラ機!? 有能機がなぜ魔改造されたのか
プロペラ機のエンジンを取り払い、翼の上に4基のジェットエンジンを載せるという“魔改造”を施した実証機をかつてNASAが開発しました。なぜそのような機体が作られたのでしょうか。
魔改造された「DHC-5」どんな機体?
NASA(アメリカ航空宇宙局)は長年、新技術の開発のため、さまざまな実証用航空機を生み出してきましたが、そのなかでも異彩を放つのが「QSRA」です。明らかにプロペラ機がベースであるものの、エンジンを取り払い、翼の上に4基のジェットエンジンを乗せるという“魔改造”をしているのです。今回は、その誕生の経緯を追っていきます。
QSRAのベース機となったのは、軍民両方で活躍した多用途輸送機DHC-5「バッファロー」です。手ごろな大きさと短い滑走路からも運用できる離着陸性能が買われて20か国以上で採用されました。その多くは今でも現役です。
アメリカ陸軍では、本格的な輸送ヘリとしてCH-47「チヌーク」が就役した1962年、CH-47と同じ搭載量を持ち短い滑走路からも運用可能な輸送機の提案要求を出しました。航空機メーカーのデ・ハビランド・カナダは、DHC-4「カリブー」をベースに主翼と尾翼を新しくした発展型を提案し、これが採用され、DHC-5になります。
前身機のDHC-4では、クルマのいわゆるガルウィングのドアが左右開いた状態を逆さにしたような主翼形状の「逆ガル翼」が特徴でしたが、DHC-5では外翼も内翼も同じ上反角を持つ形状に改良されました。主翼後縁は全幅にわたり高揚力装置(フラップ)が取り付けられています。これはDHC-4から引き継いだデザインで、外側の補助翼部分も二重隙間フラップとして機能するため短距離離着陸性能を維持しています。
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