アメリカ空軍“嘉手納基地”トップが語った「中国への懸念」 緊迫するアジア太平洋 基地の役割とは?
近年、中国の海洋進出が勢いを増しています。米国のインド太平洋地域の戦略上で重要な場所のひとつである嘉手納基地は、現状をどのように捉えているのでしょうか。同基地のトップに聞きました。
3つある嘉手納の「役割」
アメリカ空軍嘉手納基地(沖縄県)は、米国のインド太平洋地域の戦略上で重要な場所のひとつで、近年では中国の海洋進出が勢いを増すなか、抑止力としての役割は一層重くなっています。同基地は現在のこの地域の情勢についてどう認識し、どのような任務を行っているのでしょうか。
ここで舵取りを担う嘉手納基地第18航空団司令官ニコラス・B・エバンス准将にインタビューしました。ちなみに米空軍などでは操縦士が非公式の愛称として用いる二つ名、いわゆる「TACネーム」を持ちますが、同氏は「タルサ」というTACネームを持ちます。
エバンス司令官はF-16C/DやF-35などで2400時間以上の飛行経験を持ち、F-16の操縦教官を務めたこともあります。韓国・烏山やハワイを含め、アジア太平洋方面で長く勤務し、2023年7月、嘉手納基地司令官に着任しました
――嘉手納基地に与えられた任務は大きく3つあると聞きました。それらの任務を教えてください。
任務の1つ目はパートナー国、同盟国との連携です。航空自衛隊と訓練をし、そのほかのインド太平洋地域の同盟国とも訓練を行っています。嘉手納基地の存在は、こうした同盟国へのコミットメント(決意)を示しています。決意を示すことは、自由で開かれたインド太平洋地域を守っていくことにほかならないためです。
2つ目は、インド太平洋地域で侵略を抑止することです。米国や日本などと異なり、インド太平洋地域の中には国際秩序とルールに反した行動を取る、いくつかの国があります。嘉手納基地の任務は、こうしたいくつかの国と、米国や日本、同盟国との対立や衝突を抑えることにあります。
3つ目は厳しい訓練です。日本を防衛するためとして、航空自衛隊と連携して訓練を行っています。特に自衛隊の那覇基地とは良好な関係を築き連携しています。こうした中で4月下旬に行った、空自との航空医療搬送の訓練はうまくいき、うれしく思っています。
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