嘉手納基地トップ「戦いが起こらないようにここにいる」かつての激戦地・沖縄と基地のあり方とは

嘉手納基地で働く人は住民に対しどう接している?

――基地周辺地域、住民にはどのように接していきたいと考えていますか。

 戦いが起こらないようにするためにここにいる、ということに加えて、もう一つ大事なのは、基地周辺の地元の方々が、軍隊に対して敏感な感情を持っていることへの理解です。このため、特に力を注いでいるのが、基地と地元の結びつきを強める取り組みです。地元住民の方々が、我々を「良き友人」として見ていただけけるように、努力をおこたらないようにしています。

 私の希望は地元住民の方々が嘉手納基地を良き相手として見てくれ、基地の価値を知ってもらうことです。このために、嘉手納基地にいるすべての兵士が「大使」であるといってもよいです。

 また、基地には4000人を超す日本人従業員がいます。先日、この中の1人で43年間、基地での勤続経験を持つ方に会いました。この方が勤務部署の中核として、若い米国人兵士へ手ほどきをしている姿を見ると、我々は日本人従業員という「ベスト・オブ・エアメン(Best of Airmen)」に支えられていると感じています。私自身のこうした思いが、日本人に届いてほしいと願っています。

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インタビューに答えるエバンス第18航空団司令官(相良静造撮影)。

――嘉手納基地周辺地域の住民と接するため、どのような具体的な行動を取っていますか。

 また、嘉手納基地は基地周辺地域の安全と安心の確保にも努めています。4月4日、沖縄県に津波警報が出た際は、あらかじめ申し合わせた避難計画に従い、速やかに基地の入り口を開放しました。これにより、北谷町と嘉手納町から何百人もの町民が嘉手納基地内を通り高台へと避難しました。

 このほか地域とのコミュニケーションを図るため、2023年秋には「嘉手納スペシャルオリンピックス」と銘打ったスポーツ大会を行い、60人以上のアスリートと家族が基地に来て参加しました。

 そのほかにも北谷町と日米バスケキャンプや、4月27日には基地を開放する「アメリカフェスト」も行い約3万人が訪れました。こうした取り組みは、新型コロナ(COVID-19)の感染拡大により中断を余儀なくされましたが、コロナ禍が過ぎたこれからは、基地と周辺地域の関係の再構築へ多くの取り組みをしていきたいと思います。

【了】

【写真】WOWって感じ!これが「極東最大の米軍基地」内部です

Writer: 相良静造(航空ジャーナリスト)

さがら せいぞう。航空月刊誌を中心に、軍民を問わず航空関係の執筆を続ける。著書に、航空自衛隊の戦闘機選定の歴史を追った「F-Xの真実」(秀和システム)がある。

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