イタリアが考えた最強の攻撃ヘリ「チームで勝てればイイじゃない!」戦法変えれば有用か?
従来の攻撃ヘリとは異なる戦い方へ
従来の攻撃ヘリの戦い方というと、高い機動性と圧倒的な火力を生かした直接攻撃でした。しかし、対空兵器の発達によって、攻撃ヘリが目標に接近して攻撃を行うことは高いリスクが伴うことから、その対策としてミサイルのような長距離誘導兵器の普及と、高度なセンサーシステムの導入が進められました。
AW249では、これら兵器やセンサーの能力向上だけでなく、異なるプラットフォームからのデータリンクや無人機との連携を可能にしたことで、戦場全体の情報を素早く認識できるようになったそう。同じようなアップグレードは、アメリカ陸軍のAH-64E「アパッチ・ガーディアン」にも施されていますが、AW249は新規開発の機体のため、様々なミッションに対応することが可能で、陸海空の軍種の縛りなくあらゆる兵器やシステムとでデータリンクなどを使ってのリアルタイムでの連携が行えるそうです。
つまり、AW249の戦い方は、これまでの攻撃ヘリのように単体で戦うのではなく、データリンクや各種通信システムを駆使して、より広範囲の友軍とできるだけ多く連携して敵を倒すのが目的だと言えます。
単機での性能よりもチーム戦と効率のよい戦い方を追求する方にシフトしており、違う見方をすれば攻撃ヘリが持つ脆弱な部分を補おうとしているとも捉えられるでしょう。
セレモニーに参加したイタリア軍関係者も「我々が望んだものは複数のプラットフォームの中で動作できるシステムです」と説明していました。
なお、これから新しくAW249の操縦に臨むパイロットたちは「この機体では操縦法だけでなくシステムの使用法を学ぶための高度な知識が必要となります」と発言していたことから、この攻撃ヘリコプターの能力や操作方法は、従来機とはまったく異なるようです。
AW249は現在も開発の途中であることから、イタリア軍では機体だけでなく訓練シミュレーターの開発や、新しい能力に見合った運用法の確立を今後も進めて行くとのこと。そのため、このAW249を「イタリア軍の変革の柱」とまで明言していました。
前述したように、世界的には攻撃ヘリの運用方法は曲がり角に来ています。ひょっとしたら、AW249が、今後の攻撃ヘリの行く末を示す重要な指標になるかもしれません。
【了】
Writer: 布留川 司(ルポライター・カメラマン)
雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info
コメント