南九州の梅雨に負けた? 人気観光列車「いぶたま」はなぜ脱線したのか?

豪雨の多い梅雨の南九州

 しかし実際は土砂流出が発生しており、「いぶたま」は脱線してしまいました。

 鉄道会社は、こうした大雨の際に土砂流出などのトラブルが発生しやすい場所を要注意箇所としてリストアップしています。そしてそのリストを元に線路を巡回、点検しています。

 今回、指宿枕崎線で土砂が流入した地点はそのリストに入っておらず、点検されていませんでした。そのため線路の点検を行ったのに脱線事故が発生してしまった、というわけです。

 鹿児島県は雨が多く、特に梅雨や台風による豪雨が多い土地柄です。この土砂流入が発生した場所が該当するかは不明ですが、地質が火山に由来する「シラス」である地域も多く、また「シラス」は雨によって崩れやすいことでも知られています。

 そうした風土であることはJR九州も充分承知で、対策を行っていたでしょう。自然災害に対し人間がどこまで対応できるのか、難しいところだと思いますが、鉄道が安全で快適であるよう願うばかりです。

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「指宿のたまて箱」という列車名は、薩摩半島に伝わる「竜宮伝説」が由来。たまて箱を開けたときのように、ドアが開くと煙が出る。安全なミストなので、慌てて通報しないように。

 私も「いぶたま」へ、指宿で「砂むし」を楽しんだあとに乗車しました。湯上がり(と言って良いのか?)に観光列車へ乗って、ビールを片手に、車窓には青い鹿児島湾と桜島、対岸には大隅半島。車内販売もあり、至福でした。全車指定席なので、乗車には予約が必要です。

【了】

Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)

鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。

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