進むクルマの小排気量化 “信仰”を崩せるか?

日本でダウンサイジングは普及するのか?

 従来のターボは、エンジンにとにかく空気を押し込んでやるもので、細かい制御はあまりできませんでしたし、コンピュータシステムもそれほど高度ではありませんでした。

 一方、ダウンサイジングエンジンに組み合わされるターボは、すべて直噴なのが特徴です。「直噴」とはその名の通り、各シリンダー内へ燃料をダイレクトに噴射するもので、高圧力化や複数回の噴射を行なうため、燃焼状態に応じた緻密な制御が可能。つまり、エンジンの効率を最大限に引き出すことで小排気量でも大きなパワーを出すことができ、また、きめ細やかな制御によって滑らかな出力が得られるのです。効率が良く排気量が小さいことから燃料の噴射量に無駄がなく、省燃費につながるのもポイントです。

 しかし3気筒は振動が出やすく、特にアイドリング時は大きくなるというデメリットがあります。エンジンマウントの位置や形状を工夫するといった対策が行われていますが、最近ではアイドリングストップが普及しているため、それほどの問題ではないでしょう。

 ただ、ダウンサイジングエンジンではPM2.5の排出が増えるという研究結果も出ているため、この点について今後、何らかの対策が必要になるかもしれません。

 またダウンサイジングは、日本では税制面のメリットもあります。自動車税は排気量で決まるため、排気量が小さければ税額が下がるのです。1.5リッターは年額3万4500円ですが、2リッターは3万9500円、3リッターは5万1000円なので、大幅な節税になります。

 とはいえ日本の場合、現在でも“排気量信仰”的な風潮は残っていますし、そもそもハイブリッドのほうが人気です。ダウンサイジングの恩恵を最大限に引き出せる中~大型のクルマも少なく、その普及はいまひとつといったところです。

 ですが、ハイブリッド車や電気自動車がバッテリーの問題をなかなかクリアできない以上、日本にも“ダウンサイジングの波”がやってくる可能性は大いにあります。

【了】

Writer: 近藤暁史

ファッション誌から自動車専門誌編集部を経て独立。新車はもちろんのこと、メンテナンスや旧車なども得意ジャンル。モットーは「壊れたら自分で直す」で、愛車は20年以上連れ添ったFIAT500など。FIATひと筋のFIATバカ一代。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。

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コメント

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5件のコメント

  1. 「ニューカーマガジンx」で以前、「マークx」が、「1400ccダウンサイジングターボ」でフルチェンするとの情報があったと思ったが、「ガセ」だったのか?

  2. でも、夏はエアコンかけるからパワー食われる。そのことを考えるとやっぱり2000CC以上やね。

  3. アップダウンが激しい日本の国土では、ダウンサイジングターボは向いていないのでは?
    過給域では、燃費悪いことには昔のターボと変わりない。
    欧州車と異なり、アイドリング時や低負荷時の希薄燃焼技術に優れる日本車には不要。
    エアコンのコンプレッサ、ウォーターポンプ、パワステポンプ等の電動化の方が燃費改善に
    つながると思う。

  4. タダの流行だろ?

  5. X ダウンサイジングエンジンに組み合わされるターボは、すべて直噴なのが特徴です。
    O ダウンサイジングエンジンに組み合わされるターボは、大抵のエンジンが直噴なのが特徴です。