“強きアメリカ”象徴の船、復活か いまだ“最速”の称号持つ64歳

かつて客船が世界を縦横無尽に航行していた時代、その花形たる大西洋定期航路にて「最速」の称号を持つアメリカの“伝説の船”が、復活するかもしれません。

「クイーン・エリザベス」や「ドイッチェランド」が競った大西洋で

「ユナイテッド・ステーツ」(5万3329総トン、旅客定員1920人)は、第二次世界大戦さなかの1941(昭和16)年、アメリカ海軍と同国の大手海運会社ユナイテッド・ステーツ・ラインが共同で設計。有事には兵員輸送で使えるよう、海軍仕様の外板を持つ、木製品を一切使わない堅牢な客船として計画されました。そして二次大戦終了後、1950(昭和25)年にアメリカのニューポートニュース造船所で建造が始められ、1952(昭和27)年に大西洋航路へデビューします。

 19世紀から続く大西洋航路には、ヨーロッパ各国も「クイーン・エリザベス」「フランス」「ドイッチェランド」「オイローパ」といった国を代表する客船を投入。当時の最先端産業だった各国の造船所がその技術を結集し、国力を競う最速船競争「ブルーリボン」の舞台でした。

 そして、ヨーロッパの造船所が技術的優位を誇っていたなか、「ユナイテッド・ステーツ」という、アメリカで造られ、国を代表する名前が付けられたこの船は、デビューと同時に優れた能力を発揮します。

 就航した年、アメリカの建国記念日でもある7月4日に、メイン航路のニューヨーク〜サザンプトン(イギリス)間を3日と10時間40分(平均速度35.59ノット/時=65.91km/h)で航行。イギリスの「クイーン・メリー」が持っていた大西洋定期航路のスピード記録「ブルーリボン」を14年ぶりに破り、一気に人気が高まりました。このときの記録は、未だに破られていません。

 同船は、旅客輸送がジェット機にとって変わられる1969(昭和44)年まで大西洋航路に就航。「クイーン・エリザベス」や「クイーン・メリー」らと華麗さを競い、若き日のビル・クリントンら4人のアメリカ大統領ほか、マーロン・ブランドやゲーリー・クーパー、マリリン・モンロー、エリザベス・テーラー、グレース・ケリーといった数々の有名人を乗せたことでも知られています。

 しかし「ユナイテッド・ステーツ」はその後、1999(平成11)年に国定歴史建造物へ指定されますが、1996(平成8)年からフィラデルフィアで係留されたままになっており、スクラップ処分も検討されていたようです。

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