進むバスツアー高級化 制度変更に揺れる業界、売りにできなくなった「安さ」
不安をぬぐうべく、高級路線を走り出したバスツアー業界 悲惨な事故も背景に
旅行会社のクラブツーリズムでは、「ファーストクラスのバス」という同社の「ロイヤルクルーザー四季の華」シリーズに2016年4月、建築家の隈 研吾さんが監修した新車両が登場。同じく4月には、高速バスの運行や旅行業などを行うウィラーグループも、車内で調理した食事を楽しめる「レストランバス」をデビューさせています。また、大手百貨店の三越伊勢丹グループが手がける豪華バスツアーは1泊2日で15万円程度という価格ながら、2015年にバスを2台から4台へ倍増させる計画を明らかにしました。
こうした動きの背景にあるのは、2000(平成12)年に行われた貸切バスの規制緩和です。これによって事業者が2倍になり、競争が激化。価格競争が発生し、経費切り詰めなどを原因とする悲惨な事故もしばしば発生しました。
それを受けて2014年、新たな貸切バスの運賃・料金制度がスタートしますが、これによりバスツアー実施会社側では新たな課題を抱えます。
神姫バスツアーズによると、貸切バスの運賃、料金は適正になり構造が改善されたものの、ツアー代金も上昇。1500円から2000円も値上げしなくてはならない日帰りツアーが出るなどしたことから、「バスツアー離れ」が発生。大幅な集客減になってしまったそうです(前年比10%減)。
構造が改善された代わりに、代金アップで業界に生まれた「バスツアー離れ」の不安。しかし、安全が最優先なのはいうまでもありません。
そこで登場するのが、現在のバスツアー業界で目立ってきた「高付加価値化」です。近年、金銭的な余裕があるアクティブシニアをターゲットにした商品がさまざま存在します。バスツアーも高い価値を付加することで、ツアー単価を上げても離れない“そうした層”を狙う方法に動き出した、というわけです。
制度の変更により、かつてのような「安さ」を売りにするバスツアーは難しくなりました。今後より一層、バスツアー事業者は「量より質」へかじを切り、「高付加価値」を魅力にする「高級バスツアー」が日本で進化していくかもしれません。
【了】
Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)
鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。
三戸岡デザインと聞いただけで乗る気が失せた。これでは目新しさがない。脱三戸岡デザインでやってもらいたいものだな。
趣味わる〜
企業努力は認めますが・・・。
少なくとも高級化はいい考えではないでしょうか?
12列60がいい、11列45がいいなんていう画一座席、過当競争よりよほど良いと思いますが。
自分で乗らない人には(乗客として)分からないかもしれませんね。