「山陰道」じゃない方にも高速を! 鳥取・島根をまたぐ「壮大な道路構想」が活発化 山陰のポテンシャル爆上げ!?

山陰道の分断2区間が開通し、鳥取・島根をまたぐ約150kmが1本につながりました。この途上の“人口が多いエリア”では、さらに壮大な道路の建設を実現しようと、動きが活発化しています。

山陰道「じゃないほうの地域」にも高速を!

 2025年3月2日、島根県内で「山陰道」の未開通部である「出雲・湖陵道路」「湖陵・多伎道路」約9kmが開通。これにより鳥取県内から島根県大田市まで約150kmにわたる区間が1本につながりました。実は現在、この沿道エリアではもう一つ、壮大な道路構想の実現に向けた動きが活発化しています。

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開通した山陰道「出雲・湖陵道路」「湖陵・多伎道路」(画像:松江国道事務所)。

 それが、「中海・宍道湖8の字ネットワーク」と呼ばれる高規格道路網の構想です。鳥取の米子市、境港市、日吉津村、島根の安来市、松江市、出雲市の5市1村が参加しており、ざっくり言うと、山陰道が通る中海と宍道湖の南側だけでなく、北側にも高規格道路網を通そうという計画です。

 この地域は圏域人口が60万人あり、新潟、金沢に次ぐ日本海側第三の都市圏だといいます。米子・出雲の2大空港に、東アジアの航路が就航している境港、さらには松江城、出雲大社といった有名観光地も点在。これらをつないで結びつきを強化しようというわけです。

 山陰道から中海・宍道湖の北側へアクセスする米子道の境港延伸(調査中路線)、松江だんだん道路(松江第五大橋道路、開通済)、さらに北側地域で開通済もしくは整備中の路線をつなぎ合わせて、中海と宍道湖を取り囲むように「8」の字のネットワークを形成する構想です。

 ちなみにこの地域における高規格道路の開通延長は約52%、4車線化整備率に至っては約7%と低く、日本海側の主要都市圏の中で最も劣る状況だそうです。各市街地の渋滞を緩和する観点も加味されています。

 地元では2023年度に整備推進会議が設立され、同年に鳥取・島根県知事を含む沿線首長による国への要望活動も開始。2024年12月には中国地方整備局の「中国地方小委員会」で現状が議論されています。2025年3月10日まで、一般公募で選ばれた「中海・宍道湖8の字ルート」ロゴの投票も実施されるなど、機運醸成に向けた市民への周知の動きも活発化しています。

 一方で、島根・鳥取では人口減少・人口流出も深刻です。「中海・宍道湖・大山圏域市長会」は広域に連携して「住みたくなる圏域づくり」を掲げており、その基盤整備の一つとして高規格道路「8の字ネットワーク」と、新幹線(伯備新幹線、山陰新幹線)の整備促進などを挙げています。

 中国地方小委員会では、委員から「県境を跨いだ経済圏を形成する事業であり非常に重要」「人口減少への対応として重要な取り組み」「米子~境港間について、勉強会などでの議論も踏まえ、着実に計画段階評価の検討を進めるべき」といった意見が出ています。

【超壮大!】これが「中海・宍道湖8の字ネットワーク」です(地図/写真)

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