異様… イスラエルが「防衛業界大注目の場」で「出展したけどブース見せられません」異例対応 中には何が? ”激変の一夜”の裏側
世界の航空・防衛企業が出展する「パリ航空ショー」で、異例の事態が発生しています。イスラエルの出展企業の屋内展示ブース内が黒壁で覆われたのです。さらに一部は白に。この異様な光景はどういった理由から発生したのでしょうか。
企業の担当者も「?」な白壁の謎
とはいえ、「入念な仕事だよ」という感想とともに、この企業関係者が仏政府の指示に間違いないと話しながら指したこの壁は、張られた黒幕にたるみやゆるみは一切なく丁寧な仕事がなされており、よほど強い意志で指示が出されたのが分かります。さらに、その入念さを一層加えて作業したのが、「この一角だけ、なぜ白い幕で覆っているか分かるかい」と指した壁でした。上には白色に塗られたミサイルの先端が突き出ているのが見えます。
「あの先端はイランの兵器を撃ち落とすのに用いられた『ダビデスリング』という迎撃ミサイルだよ。あのミサイルを出来るだけ隠したかったのさ」と企業関係者。黒壁ではミサイル先端の白色がかえって目立つため、白壁にしたのだろうとのこと。フランス政府は、イスラエルの軍事行動の拡大をけん制しつつ外交的解決を目指しているとされています。白壁は、フランス政府のこのメッセージをより明確に示していることが伺えました。
ここまでだったら、中東情勢がパリ航空ショーに波及しただけで終わるかもしれません。しかし、「これが、日本が弾道ミサイルを撃ち込まれた場合なら、どう思う」。イスラエル企業関係者が続けた言葉に、筆者はドキリとしました。
確かに日本が緊張状態下になり実際に対空ミサイルを迎撃に使い、使ったミサイルを海外の展示場で隠されたら……日本は抗議するでしょう。実際、IAIは早々にインターネットで抗議声明を発表しています。航空ショーはにぎやかなものの、イスラエル企業の展示ブースの一角だけ静まり返っていたことからも、緊迫する国際情勢が伝わりました。
Writer: 相良静造(航空ジャーナリスト)
さがら せいぞう。航空月刊誌を中心に、軍民を問わず航空関係の執筆を続ける。著書に、航空自衛隊の戦闘機選定の歴史を追った「F-Xの真実」(秀和システム)がある。
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