米で開発中「異形の運航コスパ最強機」、実は操縦面でも“実用的”! 「競合機はムリでもコイツは飛べる」な強みとは

 アメリカ、バーモント州に拠点を置く新興電動航空機メーカー、ベータテクノロジー社(BETA Technology)では、6人乗りで、胴体最後尾にプロペラを配し、さらに通常の民間機とは明らかに異なる翼型を持つ飛行機「AVIA CTOL」を開発中です。

実は能力もすごい?

 AVIA CTOLに搭載されている動力源は、出力400馬力のモーター1基で、これを用いて胴体尾部のプロペラをまわしています。機内にはパイロット1名、乗客5名を乗せることができ、さらに客室後部に荷物スペースがあります。

 出入口は十分な開口部が確保されているほか、座席の配置もゆったりとしていて、大柄な乗客でも乗り降りに不便を感じることはなさそうです。ちなみに床下には、バッテリーが搭載されていました。

 飛行能力ですが、最大速度は153kt(283km/h)、航続距離は332海里(614km)、1時間以内の急速充電が可能と発表されています。さらに同社では飛行に伴う環境負荷はセスナ208と比較して75%減。さらに飛行1時間当たりのエネルギーコストはわずか18ドルであるとアピールしています。

 ちなみに、同社は並行して垂直離着陸可能タイプであるAVIA VTOLの数値も公表しています。AVIA VTOLは。AVIA CTOLと同じレイアウトの1基の推進用モーターに加え、垂直離着陸を行うための4基のリフトモーターを装備。合計5基のモーターを備えています。こちらは広範囲に使用されている汎用ヘリコプター「ベル407」の後継を意識した設計で、同社によると、ベル407に比べて環境負荷84%減となるほか、飛行1時間当たりのエネルギーコストは28ドルとのことです。

 さらに、同社では民間機だけでなく軍用機としての用途も想定しており、すでに軍と連携して開発を進めていると発表しています。

 今回出展されたAVIA CTOL機の飛行展示や機内を見学して、いよいよ電動航空機も実用の域に達しつつあることを実感しました。

【写真】これが「異形の電動飛行機」全貌&機内です

Writer:

航空評論家、各国の航空行政、航空機研究が専門。日本オーナーパイロット協会(AOPA-JAPAN)元理事

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