超激レア “変な形極めしジャンボ機”機内に潜入! 「デカくてエンジン4つ」の概念壊す珍設計機…その裏側とは
巨大機「747」シリーズのなかで、胴体が短いレアな派生型である「747SP」。それをベースに、さらに旅客機にはない改造を施した機体が存在します。今回、その機内に入ることができました。
本番では奇怪な姿になるレア機、その機内はどんなもの?
プラット・アンド・ホイットニーが保有する2機の747SPは、テスト用のエンジンを取り付けるためのハードポイントがコックピットの後方右側に設けられているのが外観上の特徴です。
これらの機体は、同社開発中のエンジンを様々な気象条件の中で、実際の飛行時に想定される全ての速度範囲と高度範囲で各種データを収集する「テストベッド機」の役割を担っています。そのため、エンジンテスト時には両翼4発に加えて、右側のハードポイントにさらに1基のエンジンが追加され、左2基、右3基という、ある意味奇怪ともいえるエンジン構成で飛ぶことがあるのです。
なお、同社ではこのテストベッドを用いて2001年以来71種類の異なるエンジンの地上運転試験と飛行試験を1400回実施してきたと発表しています。
さて、その機内に入ってみると、様々な機器がびっしりと配置されていて、その背後にモニター席が配置されていました。計測員の一人の説明によると、通常15人態勢で飛行するとのこと。また、テスト用エンジンがコックピットの近くにあるため、エンジン爆発を未然に防ぐことには特に注意が払われており、試験中に故障の兆候が発見された際には迅速に試験を停止させる体制をとっていると話してくれました。
筆者としては久しぶりに再会した747SPでしたが、エンジンメーカーでピカピカに磨き上げられた状態で大切に使用されている姿を見て何とも言えない嬉しさを感じました。
なお、エア・ヴェンチャーの開催期間は1週間でしたが、747SPの参加は前半の三日間のみで、その後カナダ、ケベック州のホームベースへ帰投しています。
Writer: 細谷泰正(航空評論家/元AOPA JAPAN理事)
航空評論家、各国の航空行政、航空機研究が専門。日本オーナーパイロット協会(AOPA-JAPAN)元理事
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