環境規制を「順風」に? すすむ船のLNG燃料化 横浜港から始まる次代の「世界戦略」
船舶への環境規制などにより、LNG燃料船の普及が間近に見えてきた昨今ですが、これを見越した国ぐるみのインフラ整備も動き始めており、そのモデルケースとして横浜港が選定されました。なぜ横浜港で、そしてどのように整備をすすめていくのでしょうか。
迫る船舶の環境規制強化、インフラ整備も急務
国際連合の専門機関のひとつで、海運技術や安全の向上、海洋汚染防止などを目指す国際海事機関は2016年10月、全海域を対象に船舶のSOx(硫黄酸化物)排出規制強化を、2020年より開始すると決定しました。
このSOx規制への対応としては、燃料である重油の改良、「スクラバー(脱硫装置)」の設置、そしてLNG(液化天然ガス)燃料船の導入などが主になると考えられます。なかでもLNG燃料船の導入は、現状および今後のNOx(窒素酸化物)やCO2(二酸化炭素)の排出規制動向も鑑みると、確実に増えていく見込みです。
こうしたなか、国土交通省は「我が国におけるLNGバンカリング(燃料供給)拠点を整備し、我が国港湾の競争力を高める」ことを目的とした検討会を2016年6月に設置し、そして同年12月20日(火)、横浜港をモデルケースとした整備方策を公表しました。
本検討会の座長で、国土交通省 港湾物流戦略室の松良精三室長は、現状において大規模な「Ship to Ship」方式(後述)に必要となるインフラがまだ整備されていないことにふれつつ、その一方で「速やかにLNGバンカリングが可能になると考えています」といいます。それどころか、将来的には日本がLNGバンカリングの一大拠点として発展する目も、実は大いに考えられるのです。
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