エアバスの「未来の空中給油機」が“世界初のスゴい技術”を実用化 “次世代の航空戦”のカギとなるその内容とは?
エアバスは空中給油機A330 MRTTが、シンガポール空軍で世界初の自動空中給油の完全承認を受けたと発表しました。これは将来の航空戦における空中給油の概念自体を変える可能性を持った、大きな技術革新といえるでしょう。
なぜ自動化? 目指すのは次世代の無人機対応
この自動空中給油は、既存のA330 MRTTのすべてですぐに使える技術ではなく、実装するには機体側に専用のセンサーとソフトの追加が必要とのこと。また、シンガポール空軍でも現時点で自動空中給油が可能なのは試験に使われた改修機のみとのことで、実際の任務での運用開始にはまだ時間が必要とみられます。
しかし、完全承認を受けたことで、今後はシンガポール空軍での戦力化はもちろん、他国のA330 MRTTでもこの技術は採用される可能性もあります。今回の発表でも、現在同機の導入を検討しているカナダが自動空中給油の技術に興味を持っており、潜在的なカスタマーのひとつだとエアバスは説明しています。
また、自動空中給油は現在の航空機を対象としたものではなく、今後開発・配備される無人機への対応も想定した重要な技術だといえるでしょう。エアバスではこれを「A4R(自律型航空機への空中給油:Autonomous Assets Air-to-Air Refuelling)」と呼んでおり、今後10年~20年先の未来を見据えた技術としてさらなる発展を目指しています。
現在世界中で開発が進められている第6世代戦闘機では無人機と連携する能力が必須となり、未来の航空戦では有人戦闘機だけでなく、その指示を受けてより多くの無人機も同時に任務を行います。これらの機体に空中給油する場合、その空中給油作業は自動化された給油機と無人機が担い、作業自体に人間が介入しないものとなります。それはA3Rのような給油機とその作業の自動化ではなく、無人機の管制を含めた空中給油作業全体の自動化となります。エアバスではすでにオートメイト(Auto’Mate)と呼ばれる実証プログラムを進めており、2023年にはA310 MRTTと複数のDT-25ドローンを使った飛行試験も実施しています。
また、アメリカでも海軍において無人空中給油機MQ-25「スティングレイ」が2026~2027年に配備が始まる予定です。空中給油任務の無人化が進んでいます。
今回の自動空中給油の完全承認の発表は、空中給油機の自動化・効率化といった話だけでなく、将来の航空戦における空中給油の概念自体を変える可能性を持った、大きな技術革新だといえるでしょう。
Writer: 布留川 司(ルポライター・カメラマン)
雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info





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