【空から撮った鉄道】肥薩線の大畑ループ&スイッチバック 「空鉄本」制作のために飛んだエピソード

日本には、全国津々浦々、峠を克服する鉄道があります。スイッチバックやループ線など、その土地その土地で様々な方式が採られています。今回は九州にある、ループ線とスイッチバックが合体した、JR肥薩線を紹介します。

書籍化のために撮りおろし

 日本にはいくつもの鉄道の峠があります。かつてはスイッチバックやループ線などで峠を克服していました。現代は技術が進み、急峻な峠や山塊をトンネルや高架橋などで貫く路線が増えていますが、いまなお明治時代の線形を維持したまま峠を克服している箇所があります。そのひとつが、JR九州肥薩線大畑(おこば)駅(熊本県人吉市)周辺にあるスイッチバック構造を備えたループ線です。ここを空撮することになりました。

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予備として撮影した「大畑ループ&スイッチバック」のカット。北側から撮影したもので、左上に見えるのが大畑駅。列車は通っていない(2012年5月19日、吉永陽一撮影)。

 空撮のきっかけは「空鉄本」の制作でした。2011(平成23)年に初個展開催後、せっかくなので書籍化しようと編集氏と打合せを重ね、書籍化へと動き始めた過程で、ぜひ峠を入れようということとなりました。では、撮りおろしになるのだからどこが魅力的かと考えたところ、「大畑ループ&スイッチバック」が思いついたのです。

 肥薩線人吉~吉松間は霧島連山の山岳地帯を行きます。両駅間約35kmの距離に対し、約430mの高低差があり、ループ線が大畑駅に1ヶ所、スイッチバックが大畑駅と真幸(まさき)駅(宮崎県えびの市)の2ヶ所にあります。この線形は1909(明治42)年に完成した当時のまま、現代でもほぼ変化がありません。

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予備カット撮影後、移動して第二球磨川橋梁を渡河する、58654号機牽(けん)引の「SL人吉」を捉える(2012年5月19日、吉永陽一撮影)。

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Writer: 吉永陽一(写真作家)

1977年、東京都生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業後、建築模型製作会社スタッフを経て空撮会社へ。フリーランスとして空撮のキャリアを積む。10数年前から長年の憧れであった鉄道空撮に取り組み、2011年の初個展「空鉄(そらてつ)」を皮切りに、個展や書籍などで数々の空撮鉄道写真を発表。「空鉄」で注目を集め、鉄道空撮はライフワークとしている。空撮はもとより旅や鉄道などの紀行取材も行い、陸空で活躍。

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