【空から撮った鉄道】立山連峰の麓に広がる地鉄 その分岐点を撮る

富山地方鉄道は、富山の人々に「地鉄」の名で親しまれる私鉄です。大きく分けて鉄道線と軌道線があって、それぞれいくつかの路線があります。富山平野に広がる地鉄の分岐駅を中心に狙い、北陸新幹線開業前と直後の2回、空撮しました。

Y字に分岐する駅は地方鉄道のなかでも屈指の多さ

 日本海に面した富山平野は、遠くに立山連峰の名だたる秀峰が聳えています。この平野には、富山地方鉄道(以下、地鉄)の路線網が広がっています。

 地鉄は大きく分けて鉄道線と軌道線の2種類あって、鉄道線は電鉄富山駅~宇奈月温泉駅間の本線、電鉄富山駅~岩峅寺駅~立山駅間の立山線、電鉄富山駅~南富山駅~岩峅寺駅間の不二越・上滝線から成ります。軌道線は「市電」の名で親しまれ、南富山駅前~富山駅の1系統、南富山駅前~富山駅~富山大学前の2系統、環状線の3系統のほか、富山港線岩瀬浜駅と富山駅や富山大学前を結ぶ系統を含めて、合計6系統で運行されています。

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北陸新幹線の工事が進む富山駅。地鉄の軌道線はまだ富山駅に乗り入れていないころで、画面上には富山ライトレールの富山駅北電停、画面右下には富山駅前電停(現在の電鉄富山駅・エスタ前電停)に停車中の7000形が建物のあいだからチラリと見える。鉄道線の電鉄富山駅は画面右側にある富山地鉄ホテルの建物の下に位置する(2013年9月18日、吉永陽一撮影)。

 ちなみに富山港線は歴史がちょっと複雑で、富岩鉄道→富山電気鉄道(のちに地鉄)→国有化によって国鉄富山港線(のちにJR富山港線)→「富山ライトレール」と歩んできたのち、富山駅高架化によって、駅を挟んで南側にある地鉄軌道線と2020年3月に結ばれ、再び地鉄の路線となり、富山港線を名乗っています。今回紹介する空撮は、南北の軌道が結ばれる以前、北陸新幹線開通前の2013(平成25)年と、新幹線開業直後の2015年の2回です。

 2013年。地鉄の空撮は、空鉄本2冊目のための撮り下ろしでした。立山砂防工事専用軌道をメインとして、100km余りの総延長を誇る地鉄も加えることにしたのです。問題なのは、北陸地方には手軽に利用できる空撮用の機体が無く(コスト高なヘリコプターはあるかもしれないが)、離れた場所からの遠征となることです。信州の松本空港から穂高岳を横目に飛び、北アルプスを越えて行くことになりました。

 名だたる秀峰や山脈を越えるため、天候のコンディションは安定していないと飛行できません。通過地点には雲がよく出て、最初予定していた2回はキャンセルとなり、3度目の正直で決行。文句なしの安定した晴れであったため、気持ちのいい山岳遊覧飛行をしながら、穂高の山々、北アルプス、黒部ダムの勇姿、室堂や弥陀ヶ原の高原地帯を眼下に見て、富山平野へ出ました。

 地鉄の撮影は富山駅からスタートします。富山駅は北陸新幹線の工事が急ピッチで進行し、仮駅舎に地上ホームと、過渡期の姿が見られました。鉄道線の電鉄富山駅は、北陸新幹線ホームの工事が真横で行われています。富山駅は生まれ変わる直前で、工事の喧騒に包まれていました。

 北アルプスを越えて遠征してきたこともあり、空撮の時間は限られます。地鉄だけで時間を食ってしまうわけにはいきません。そこで、分岐駅である稲荷町駅、寺田駅、上市駅、岩峅寺駅、南富山駅を中心に撮影することにしました。5ヶ所の分岐駅がある中小民鉄は、そうそうありません。

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Writer: 吉永陽一(写真作家)

1977年、東京都生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業後、建築模型製作会社スタッフを経て空撮会社へ。フリーランスとして空撮のキャリアを積む。10数年前から長年の憧れであった鉄道空撮に取り組み、2011年の初個展「空鉄(そらてつ)」を皮切りに、個展や書籍などで数々の空撮鉄道写真を発表。「空鉄」で注目を集め、鉄道空撮はライフワークとしている。空撮はもとより旅や鉄道などの紀行取材も行い、陸空で活躍。

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