フェリーさんふらわあ なぜ志布志市志布志町志布志発着か…って何そこ? 現地へ〈PR〉
大阪南港発のフェリーさんふらわあ。行先のひとつである鹿児島県の「志布志市志布志町志布志」はどんなところか、実際に行ってみたところ、フェリーが鹿児島市でなく志布志発着なことに、納得の理由がありました。あと「志」推しでした。
大阪~鹿児島航路のフェリーさんふらわあ 鹿児島の発着地は「志志志志志志」
大阪南港に、2航路が発着するフェリーさんふらわあ。その行先のひとつは別府、もうひとつは「志布志市志布志町志布志」です。どんなところなのか、フェリーに乗って行ってみました。
志布志は鹿児島県の大隅半島に位置する、太平洋へ面した港町。大阪南港を17時55分に出港して船中1泊、朝8時55分に到着します(所要時間、運航時刻は日によって異なる)。
ターミナルにあった記念撮影用の顔出し看板には、「鹿児島県志布志市志布志町志布志3292」との住所表記。市のキャラクター「志武士ししまる」が、「志(こころざし)あふれるまち 志布志」と紹介するなど、この街、「志」の字が推されています。
その象徴的な場所が市役所。「こちらは、志布志市志布志町志布志の志布志市役所志布志支所です」と書かれた看板が立っています。JR志布志駅にある観光協会で「市役所へ行きたい」と言うと、即座に「看板ですか?」と返ってくるほど、観光スポットにもなっているようです。
この市役所はもともと、「曽於(そお)郡志布志町の志布志町役場」でしたが、2006(平成18)年に周辺自治体との合併で「志布志市」が誕生。住所に旧町名もつけることになり、「志布志市志布志町志布志」と「志」の字だらけになりました。なお、志布志市役所の本庁舎は、旧志布志町の西隣の町だった旧有明町役場です。
上から読んでも、下から読んでも「志布志」。このことが実は、地名の由来にもなっているそうです。街なかの観光案内看板では、次のように説明されていました。
「志布志の地名は、天智天皇遷幸の伝説のなかで、天皇に布を献上した妻女の優しい心にならい、召使いの女性もまた布を献上したところ、天皇は上下その志の厚いのを喜ばれて『この地は志布志である』といわれた」
こうして、上から読んでも下から読んでも「志の布」となる地名が誕生したと、いう説があります。
大阪~鹿児島間のフェリー なぜ鹿児島市でなく志布志市発着なのか そのメリットとは?
志布志市は人口3万人ほどと、鹿児島県内でもそれほど大きな街ではありません。なぜフェリーさんふらわあの大阪~鹿児島航路は、県の中心である鹿児島市ではなく、志布志市発着なのでしょうか。
それは、かんたんに言えば「鹿児島市だと時間がかかりすぎる」からです。錦江湾の奥に位置する鹿児島市までは、志布志市から大隅半島南端の佐多岬まで回り込み、そこから北上しなければならず、距離にして少なくとも150km以上はあります。そのため志布志市から先は、もしくは志布志市までは、陸路で移動したほうが効率がよいのです。
また、太平洋に面した志布志市は宮崎県にも近く、日本有数の農畜産王国である南九州一帯から利用しやすい、という地の利もあります。
志布志のフェリーターミナルには、鹿児島市内とを約2時間で結ぶ高速シャトルバス「さんふらわあライナー」がフェリーの発着にあわせて運行(乗船客は無料)されているほか、志布志市内からは西側の鹿屋市、垂水市方面、北側の宮崎県都城市方面、鹿児島空港のある鹿児島県霧島市方面にもバスが発着。鉄道も日南線が、JR志布志駅から宮崎県の串間市、日南市、宮崎市方面へ通じています。またこうしてバスが各地へ向かっているように、クルマを使った南九州の周遊にも、志布志は便利な場所です。大阪からフェリーで自家用車を載せてくることもできますし、志布志港でレンタカーを借りることも可能です。
志布志市のある大隅半島から錦江湾を挟んだ対岸の薩摩半島へは、桜島と鹿児島市街のあいだに「桜島フェリー」、垂水市と鹿児島市のあいだに「鴨池・垂水フェリー」、南大隅町根占(ねじめ)港と指宿(いぶすき)市の山川港のあいだに「フェリーなんきゅう」と、3つの航路が存在し、それぞれクルマも載せられます(フェリーなんきゅうの一部は指宿港発着。ただし車両航送不可)。志布志を起点とした南九州・鹿児島の旅では、これら航路も活用可能です。
ちなみに、現在のJR日南線は志布志が終点ですが、かつてはそこから北の都城方面と、西の鹿屋・垂水方面の双方へ鉄道が通じていました。それぞれ志布志線、大隅線といい、JR発足直後の1987(昭和62)年に廃止されています。志布志駅は、3方向への鉄道路線が集まるターミナルだったのです。
それから30年以上を経て、志布志にはまもなく高速道路が開通します。九州道の加治木JCT(鹿児島県姶良市)から鹿屋方面へ伸びる東九州道が、鹿屋串良JCTから志布志ICまで、2020年度内に延伸する見込み。交通の便がよりよくなります。
志布志から鹿児島市まで、バス&船で行ってみた!
●「フェリーさんふらわあ」ウェブサイト
https://www.ferry-sunflower.co.jp/
【了】