日本唯一になったトロリーバス、立山黒部アルペンルートを今日も行く〈PR〉

かつて通勤通学の足として日本の都市を走ったトロリーバス。ほとんどは廃止されましたが、いまも唯一、絶景広がる「立山黒部アルペンルート」では運行中。しかも「実は鉄道」であるなどトリビアも多い、ユニークな乗りものです。

日本でここでしか乗れない!

「トロリーバス」と呼ばれる乗りものがあります。見た目はバスですが、空中に張られた電線(架線)から電気を受け取り、モーターを回して走行。バスと電車が合体したような、ユニークな乗りものです。

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日本で唯一のトロリーバスになった立山トンネルトロリーバス(画像:立山黒部貫光)。

 このトロリーバス、日本では現在、国内有数の観光地として知られる「立山黒部アルペンルート」でしか乗ることができません。

 立山黒部アルペンルートは、富山県と長野県を結ぶ北アルプスの観光ルート。富山県側の立山町「立山駅」から長野県側の大町市「扇沢駅」までの約37kmを、様々な乗りものがリレーするように結んでいます。そのひとつが立山黒部貫光という会社が運行するトロリーバスです。

 立山駅からケーブルカーとバスを乗り継ぎ、約1時間で室堂ターミナルに到着。目の前には万年雪も見える立山連峰の主峰・雄山(標高3003m)がそびえ立っています。ここから雄山の真下を貫いて東へ進む立山トンネルを走っているのがトロリーバスで、室堂ターミナルの一角にトロリーバスの「室堂駅」があります。

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室堂ターミナルはトロリーバスの「室堂駅」でもある(画像:立山黒部貫光)。

  改札口を抜けてコンクリートに囲まれた地下空間に出ると、目の前にトロリーバスが数台連なって停車しており、まるで数両編成の電車が停車しているように見えます。その脇には客がトロリーバスに乗るための少し高くなったスペースがあり、これも鉄道のプラットホームのようです。

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電車が停車している地下駅のようなトロリーバス乗り場(画像:立山黒部貫光)。

 実は法令上、「トロリーバス」は「鉄道」の扱いで、鉄道事業法では、トロリーバスのことを「レール(軌条)が無い電車」という意味で「無軌条電車」と呼んでいます。

「日本一」と「絶景」も楽しめる

 標高の高い場所にある鉄道駅いえば、JR小海線の野辺山駅(長野県南牧村、標高1346m)が有名ですが、トロリーバスも含めれば、この標高2450mの室堂駅が日本一。国内唯一のトロリーバスに乗れば「日本一高い場所にある鉄道駅」も同時に訪ねられるというわけです。

 車両も鉄道扱いのため、自動車ナンバーはありません。一般的な鉄道とちょっと違うのは、架線が2本あり、架線から電気を受け取る棒(ポール)も2本設置されていること。一般的な電車で使う電気は、架線から鉄の車輪と鉄のレールを通って変電所に戻りますが、トロリーバスはゴムタイヤでレールもないため、電気が変電所に戻るための架線を追加しているのです。

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空中を走る架線と、車両に電気を取り込むポールはそれぞれ2本ある(画像:立山黒部貫光)。

 室堂駅を発車したトロリーバスは、立山トンネルを東へと進みます。トンネルの幅は1車線分しかなく、上下の列車が1本の線路を共同で使う「単線」の扱い。途中にはトロリーバスがすれ違うためのスペースがあり、これも単線のローカル線のようです。信号機も一般的な鉄道と同じタイプで、運転士は信号機を確認しながらトロリーバスを走らせます。

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立山トンネルの幅は1車線分しかない。鉄道としては「単線」扱いになる(画像:立山黒部貫光)。
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立山トンネルの中間にある、すれ違いスペース(画像:立山黒部貫光)。

 ちなみにトロリーバスの運転士は、一般的なバスを運転するための自動車運転免許(定員30人以上のバスで旅客運送を行うための大型二種免許)に加え、鉄道の免許制度(動力車操縦者運転免許)に基づく「無軌条電車運転免許」も持っています。

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鉄道車両の運転免許は正式には「動力車操縦者運転免許」という(画像:立山黒部貫光)。
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トロリーバスの動力車操縦者運転免許の種類欄には「無軌条電気車」と記されている(画像:立山黒部貫光)。

 全長およそ3.7kmの立山トンネルを室堂駅から走り始めて10分、トンネルの出口にある終点の大観峰駅に到着。室堂駅より少し低いですが、それでも標高は2316mです。

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大観峰駅の展望台からは後立山連峰と黒部湖の雄大な景色、立山ロープウェイを眺めることができる(画像:立山黒部貫光)。

 駅の外に出れば、眼下に黒部川がつくり出した峡谷と、黒部ダムがつくり出した黒部湖が広がっていました。

「都市交通」が山奥を走る納得のワケ

 もともとトロリーバスは、路面電車に準じた「都市交通」として発達しました。しかし架線の下しか走れないため、道路渋滞の原因とみなされるようになり、日本の都市を走るトロリーバスは1972(昭和47)年、横浜の市営トロリーバスを最後に消滅しました。

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立山トンネル開通当初の車両は、トロリーバスではなくディーゼル車だった(画像:立山黒部貫光)。

 一方、立山黒部アルペンルートは1971(昭和46)年に全線が開通し、立山トンネルではディーゼルエンジンを搭載したバスの運行が始まりましたが、観光客の増加にあわせてバスの運行本数も増加。排出ガスによる環境への影響を考慮し、1996(平成8)年から電気で走るトロリーバスに置き換えられたのです。

 ちなみに、アルペンルートでは立山トンネルだけでなく、長野県側の扇沢と黒部ダムを結ぶ関電トンネルでも、1964(昭和39)年から関西電力がトロリーバスを運行。立山トンネルトロリーバスの「先輩」にあたります。しかし、2018年限りで運行を終了。2019年から搭載したバッテリーで走る電気バスに転換したため、現役のトロリーバスは立山トンネルトロリーバスだけになりました。

 立山黒部貫光の担当者は、「立山トンネルトロリーバスは、現時点ですぐにほかの車両に移行する予定はありませんので、国内ではここでしか乗れない唯一無二の体験を多くの方々に味わっていただけるよう、今後も積極的にPRしていきたいと思います」と話し、これからもトロリーバスの運行を可能な限り続ける考えを示しました。

 日本唯一のトロリーバスは、今日も立山黒部アルペンルートを走っています。

●立山黒部アルペンルート オフィシャルサイト
https://www.alpen-route.com/

【了】

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