「ドラフト1位指名」その日も改札業務中 鉄道員出身のプロ野球選手 そしてまた鉄道へ
元鉄道マンが描く野球選手のセカンドキャリア
多くの選手が鉄道の現場からプロの世界に入る中で、同時にプロの舞台から去る選手もいます。規模が大きく業種の幅も広い鉄道会社では、かつて在籍した選手を現役引退後に受け入れるケースも目立ちはじめました。
元ソフトバンク・近田怜王投手(2009年ドラフト3位)は、2013(平成25)年に引退したのち、JR西日本硬式野球部で野球を続けつつ、プロ野球への復帰を模索する道を選びました。2015年に野球部を引退した後は、JR神戸線 三宮駅の駅員や「新快速」の車掌業務などを経験し、乗客に気づかれることもあったのだとか。そして2020年9月に指導者として京都大学野球部へ出向し、野球から鉄道、そしてまた野球とキャリアを重ねているようです。
またプロ入りせず野球を引退し、キャリアを積んで会社の要職に就くケースもあります。JR東日本で9年間プレーした長友真輝捕手は、大崎駅駅長や本社営業部などを歴任し、2020年現在は山手線 池袋駅長として駅や180人の社員を管理しています。強打俊足の捕手として「都市対抗で1試合7打点」など輝かしい記録を残した長友選手の捕手としてのフットワークは、日本有数の巨大ターミナル駅の管理に生かされているのではないでしょうか。
なかにはJR東日本からプロ入りした元巨人・石川雅実投手のように、引退後にさまざまな仕事を経験したのちにJRの関連会社に戻るようなケースも。以前はプロ野球入りすることで精一杯だったそうですが、現在は駅の清掃やコインロッカーの運営を受託しているJR東日本環境アクセスの社長秘書として、スピード感あふれる仕事をされているそうです。
近年はプロ野球に限らず、スポーツ選手は現役引退後の「セカンドキャリア」(第2の人生)をどう過ごすかも問われます。インフラを担うために接客から技術職まで幅広い職種を必要とする鉄道会社は、野球だけでないアスリートの受け入れに最適といえます。企業にとっても、多くの人々に愛されるスポーツに貢献することで社会貢献を果たす「CSR活動」につなげているのではないでしょうか。
【了】
Writer: 宮武和多哉(旅行・乗り物ライター)
香川県出身。鉄道・バス・駅弁など観察対象は多岐にわたり、レンタサイクルなどの二次交通や徒歩で街をまわって交通事情を探る。路線バスで日本縦断経験あり、通算1600系統に乗車、駅弁は2000食強を実食。ご当地料理を家庭に取り入れる「再現料理人」としてテレビ番組で国民的アイドルに料理を提供したことも。著書「全国“オンリーワン”路線バスの旅」など。
国鉄盛岡は盛岡市内に野球場を持っていた。
「JR東日本からプロ入りした元巨人・石川雅実投手のように」
ドラフト上位での入団ながら2年で戦力外となって、
野球以外の理由があったのでは? という憶測が流れているのを見た覚えもあるので、
良いニュースです。
十亀にはもっと頑張ってもらいたい。
引退後は西武鉄道で面倒みるよ。