池袋にLRTは果たして現実的なのか 「IKEBUS」の課題とは?

豊島区が池袋エリアにLRTの導入を構想しましたが実現がなかなか進まず、電気バスによる「IKEBUS」の運行を開始しています。ここではLRT構想を振り返り、今後実現するかどうかを考えていきます。

この記事の目次

・LRT構想は17年ほど前から
・豊島区の考えるLRT構想とは
・LRT建設に立ちはだかる障壁
・進まないLRT構想の「代わり」に登場した電気バス
・見た目と回遊性を重視した「IKEBUS」
・「IKEBUS」の課題とLRT構想の実現性

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LRT構想は17年ほど前から

 山手線の北西側にある副都心、池袋。近年は駅周辺で公園や広場の整備や区役所移転による新たな大型複合施設の再開発が行われています。

 いま積極的にまちづくりを行っている池袋には2003(平成15)年頃からLRTの構想があります。今回は池袋のLRT構想について追いながら、LRT構想の前段階的に運行を開始した「IKEBUS」についても紹介し、池袋のLRT構想の実現可能性について考えていきます。

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造幣局跡地に作られた「IKE・SUNPARK」に作られたIKEBUSのバス停とIKEBUS(2020年12月、鳴海 侑撮影)。

豊島区の考えるLRT構想とは

 池袋に導入構想のあるLRTはどのようなルートなのでしょうか。豊島区の策定した「池袋副都心交通戦略 2020更新版」によれば、池袋駅東口からグリーン大通りと日出通りを東池袋駅付近まで南東に向かい、北へと進路を変えてサンシャインシティを東から北へ回り込み、サンシャイン通りを経由して池袋駅東口へ戻る全長約2kmの環状線です。

 単線の建設が考えられており、運行車両は超低床車両(LRV)とされています。全線併用軌道のため、LRTというよりも厳密に言えばLRVを導入した路面電車なのですが、構想としては「LRT」と銘打たれています。

 この構想が本格的に検討されはじめたのは、高野之夫豊島区長が1999(平成11)年に初当選してからのことです。2003年に「グリーン大通りへのLRT導入検討調査」を発表し、この中でグリーン大通りを経てサンシャインシティに向かう「サンシャインルート」、都電荒川線東池袋四丁目電停へ向かう「東池袋ルート」、雑司ヶ谷駅(現・都電雑司ヶ谷駅)方面へ向かう「雑司ヶ谷ルート」が構想され、都電荒川線との乗り入れが検討されていました。

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2003年当時のLRT構想「東池袋ルート」案(豊島区史編さんwebサイト「としまひすとりぃ」内「グリーン大通りへのLRT導入検討調査」より引用)。
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2003年当時のLRT構想「雑司が谷ルート」案(豊島区史編さんwebサイト「としまひすとりぃ」内「グリーン大通りへのLRT導入検討調査」より引用)。
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2003年当時のLRT構想「サンシャインルート」案(豊島区史編さんwebサイト「としまひすとりぃ」内「グリーン大通りへのLRT導入検討調査」より引用)。
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2003年当時のLRT構想で示された3つのルート(豊島区史編さんwebサイト「としまひすとりぃ」内「グリーン大通りへのLRT導入検討調査」より引用)。

 続いて2008(平成20)年度に行われた「新たな地域公共交通システムについて 池袋LRT整備構想策定調査」では、グリーン大通りを通って東池袋四丁目電停から都電荒川線に乗り入れて大塚駅前電停および早稲田電停までを結ぶ路線、グリーン大通りを通ってサンシャインシティを経由してサンシャイン通りから戻る路線、前2案を統合し、東池袋四丁目電停と向原電停を経由し、大回りして池袋駅東口に戻る路線の3ルートになりました。そしてどの案も池袋駅東口から東口五差路までの100mをトランジットモール化することになっていました。

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2008年当時のLRT構想で示された「東西直線型」案。この案では都電荒川線への直通を前提としている(豊島区史編さんwebサイト「としまひすとりぃ」内「新たな地域公共交通システムについて 池袋LRT整備構想策定調査」より引用)。

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Writer: 鳴海 侑(まち探訪家)

1990年、神奈川県生まれ。私鉄沿線で育ち、高校生の時に地方私鉄とまちとの関係性を研究したことをきっかけに全国のまちを訪ね歩いている。現在はまちコトメディア「matinote」をはじめ、複数のwebメディアでまちや交通に関する記事を執筆している。

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