ムッソリーニの鶴の一声で誕生 イタリアン戦車P40 ソ連製T-34に憧れ開発途中で大変身

第2次大戦中、ソ連領内に攻め入ったドイツ軍が強力なT-34戦車に遭遇し、大ショックを受けたことは比較的知られています。通称「T-34ショック」と呼ばれた衝撃は、イタリアにも影響を与えたとのこと。結果、生まれた同国最後の戦車P40型とは。

「T-34ショック」の影響でデザイン一新

 ところが、試作車の開発を始めた矢先、友邦ドイツの陸軍とともにソ連へ進撃していたイタリア陸軍の東部戦線派遣軍からソ連戦車の報告が入るようになります。特にT-34戦車に関しては、防御力と攻撃力の双方で優れており、この戦車に前線のイタリア軍将兵は圧倒されたとありました。それは「T-34ショック」と呼べるもので、そのバランスの取れた高性能に影響を受け、開発途中のP40重戦車は根本から設計変更を余儀なくされ、開発は大幅に遅延していきます。

 これは何もイタリアに限った話ではなく、ドイツ軍も同様にT-34戦車の洗礼を受けて、傾斜装甲を多用した「パンター」戦車を開発しています。イタリアのP40重戦車についても、T-34戦車の影響で避弾経始(弾をはじいて防御力を高める考え方)を考慮した傾斜装甲を、車体前面(50mm厚)と側面(40mm厚)に採用、履帯を保護するサイドスカートも増設されるなど外観だけでも相当な変更が加えられました。

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1943年夏、ジェノバの工場で完成したばかりのP40重戦車の初期量産タイプ。試作車と異なり砲塔上面のハッチは弾薬の出し入れを容易にするために大型の1枚扉に変更され、砲塔防盾も半円筒カバーで被う形に強化されている(吉川和篤所蔵)。

 こうして、デザインこそ近代的なものになりましたが、ドイツやソ連と違い、基礎工業力が低かったイタリアでは電気溶接を多用しての量産が難しかったため、基本構造はひと昔前のリベット止めのままで、その点では古臭さを残していました。

 武装も、当初の試作タイプでは短砲身(18口径)75mm戦車砲を搭載していたものの、これでは装甲の厚いソ連戦車には有効でないことがわかったため、途中で長砲身(32口径)に変えられて最終的にはさらに長い(34口径)75mm戦車砲搭載になります。これは距離1000mで60mmから70mm厚の装甲を貫徹して、中距離なら大抵の敵戦車を撃破できる能力がありました。

【写真】変身前のP40戦車 T-34ショックを受ける前の姿は…

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