戦車の砲弾、射撃後の空薬莢はどう処理するの? 狭い砲塔、溜まる薬莢、しかも熱い!

戦車の砲弾は基本的に銃弾などと同じ構造で、通常の砲弾の場合、射撃後には薬莢が残ります。演習などでは連続して射撃する姿も見られますが、狭い砲塔内で空薬莢はどう処理しているのでしょうか。

撃てば溜まる、それが「薬莢」

「戦車」とひと口にいっても、厳密には、機関砲を搭載している車両はたとえ装軌式(いわゆるキャタピラー)であっても、戦車とは呼ばれません。「戦車」とは装軌式で、分厚い装甲を持ち、なおかつ敵戦車や敵兵が立てこもる塹壕や陣地を撃破するための大口径砲を搭載していることが必須です。

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74式戦車に砲弾を積み込むところ。飛んでいくのは濃緑色の弾頭部のみ(月刊PANZER編集部撮影)。

「戦車砲」といっても、何ら特別なものではなく、弾(砲弾)が発射され、目標に向かって飛翔する仕組みは、拳銃やライフル(小銃)と基本的には変わりません。

 砲弾そのものの構造としても銃弾と同じで、弾の後ろに装薬を詰めた薬莢(やっきょう)があり、この装薬が燃えることで弾が放たれます。そして薬室(砲身の、砲弾を装填する部分)に残った薬莢は排出され、次の弾が装填されます。ちなみに、この際に排出された空の薬莢は「撃ち殻薬莢(うちがらやっきょう)」と呼ばれます。

 この「薬莢」ですが、弾のサイズが小さい銃弾であれば、数十発撃ったとしても、大して気になるものではないでしょう。では、大口径戦車砲の薬莢の場合はどうでしょうか。

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乗員が砲弾を運んでいるところ。砲弾の種類によって薬莢の色が違う(月刊PANZER編集部撮影)。
射撃訓練の際に集積された74式戦車の空薬莢(月刊PANZER編集部撮影)。
イギリス陸軍チャレンジャー2の、弾頭と装薬(画像:アメリカ陸軍)。

 戦車砲は装甲化された砲塔に据え付けられており、薬莢を排出する砲尾部は「戦闘室」と呼ばれる砲塔内部にあります。現代の戦車は、第2次世界大戦時の戦車に比べ車体も砲塔も大きいため、内部も空間的に余裕があると思いきや、実はそれにともなって装甲も分厚くなっているほか、搭載砲が大型化したことによって砲尾部も巨大化し、搭載弾薬も当然、大きくなり、さらに無線機や電子装置なども多数搭載し、非常に窮屈です。

 そうしたなか、戦車砲を射撃するたびに次々と排出される大きな撃ち殻薬莢は、当然、砲塔内部に溜まります。排出された直後の薬莢はとてつもなく熱いため、もともと砲弾をストックしていたラックに戻すことも、すぐにはできません。第2次世界大戦中の逸話などでは、砲塔内部に薬莢がゴロゴロ転がっているなか、敵戦車に射撃し続けた、などという話もあるほどです。

【写真】燃える薬莢、90式戦車の120mm砲弾

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