すべて傾いている東海道新幹線の列車 なぜなのか?

実感は難しい「神業」か?

 しかしこの「1度」という傾き、乗って実感するのは難しいかもしれません。カーブではそもそも車体が内側へ傾くよう線路自体が造られているところ、加えて車体を傾ける形になるためです。

 300km/h近い速度で走行しながら、カーブへ進入するとき、16両編成の先頭から順番に車体を傾けていき、また順番に車体を元に戻していくという神業のような動きが、ひそかに行われています。

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台車と車体のあいだにある空気バネを膨らませることで車体傾斜を実現(恵 知仁撮影)。

 ちなみに、JR東海が2016年に鳥飼車両基地(大阪府摂津市)で行った親子向けツアーで、平坦な場所へ停車したN700系で車体傾斜を体験するイベントを実施し、その取材をしたことがあるのですが、「1度の傾き」、そこでは明らかに分かりました。

 また山陽新幹線では、カーブが原則として半径4000m以上とゆるいため、車体傾斜装置を使わずとも、乗り心地を保ったまま、そのカーブを300km/hで通過可能。そのため山陽・九州新幹線「みずほ」「さくら」などに使われる薄水色のN700系には、車体傾斜装置は搭載されていません。

 なお車体傾斜装置は、東北・北海道新幹線「はやぶさ」などに使われるE5系とH5系、秋田新幹線「こまち」のE6系も搭載しており、車体を最大で1.5度傾け、半径4000mのカーブを320km/hで、乗り心地を保ったまま通過できます。

【了】

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1件のコメント

  1. 車体を傾ける列車はクモハ591、381系(共に振り子式)から始まって、E353系までいます。理由はもちろん急カーブです。