旅客機着陸「自動/手動」どう使い分け? 実は「楽する」ためじゃない!ANA操縦士に聞く
優れたシステムを搭載する現在の旅客機の多くは、「自動着陸」に対応しているのが一般的です。プロのパイロットはどのような場面や頻度で使うのでしょうか。ANAのパイロットに聞いたところ、「手順の簡略化」とは全く違う使い方をしていました。
「自動着陸可、じゃあ使おう!」とはならない!?
多くの旅客機では、高性能なコンピューターを用いた「自動着陸」に対応しているのが一般的です。非常に優れた能力を持つこの機能ですが、パイロットはいつもこれを使うとは限らないようです。
自動着陸と手動着陸は、どのように使い分けがされているのでしょうか。ANA(全日空)のパイロットに聞きました。
このパイロットによると、自動着陸を実施するにあたっては、複数の条件が整っている必要があるといいます。
まず第1の条件は「ILS Approach」であることだそう。これは着陸直前まで定められた飛び方で飛ぶ「計器進入方式」のなかで、もっとも一般的で精度が高い方式です。「ILS(計器着陸装置)」は滑走路の着陸する地点から縦方向と横方向の電波をそれぞれ出す支援装置で、パイロットはそれをガイドに着陸する滑走路までたどり着く、というものです。
このほか、「自動着陸可能滑走路であること」「機体に特定の不具合がないこと」「風(向かい風・横風・追い風それぞれ)が規定値以内であること」「フラップ(高揚力装置)の角度が定められた範囲であること」などの条件が整っている必要があるそうです。
同氏は「実際のANAの国内・国際線運航のなかで自動着陸が可能なケースは、個人的な感覚では2回に1回程度でしょうか」と話します。
ただ、自動着陸ができるからといって、それを多用するかといえば、そういうわけではないようです。同氏は「自動着陸が可能なケースであっても、技量を維持、向上するために手動で着陸をすることが大半です」と話します。
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