旅客機着陸「自動/手動」どう使い分け? 実は「楽する」ためじゃない!ANA操縦士に聞く

優れたシステムを搭載する現在の旅客機の多くは、「自動着陸」に対応しているのが一般的です。プロのパイロットはどのような場面や頻度で使うのでしょうか。ANAのパイロットに聞いたところ、「手順の簡略化」とは全く違う使い方をしていました。

できれば手動で!のパイロットが自動着陸するケースとは

 では、自動着陸はいつ使用するのでしょうか。ANAのパイロットは「空港の設備や条件によっては、自動着陸しなければいけない場合や、自動着陸が推奨される場合というのもあります」と話します。これを紐解くポイントは「ILSの精度(カテゴリー)」です。

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ANAカーゴ「ボーイング777F」のコックピット(伊藤真悟撮影)。

 先述の「ILS」は、精度が「CATI」「CATII」「CATIII」の3段階に分かれており、それぞれの精度に応じた最低気象条件(その計器進入方式を実施してよい気象条件。おもに視程や滑走路視距離から判断される)や決心高(その高さにおいて滑走路・灯火を視認できなければ着陸を中止しなければならないという高さ)などが定められています。

「CATI」から「CATIII」まで、段階の数字が大きいほど精度が高く、より視界不良の状態でも着陸続行が可能です。同氏によると、「最低気象条件の数字は滑走路や条件によって多少異なるものの、それぞれのカテゴリーで着陸可能な最も悪い気象条件はCATIで550m、CATIIで300m、CATIIIで75m」です。先述の「自動着陸をするケース」については、「ILSの『CATII』『CATIII』では自動着陸のみが許可されており、また『CATI』であっても視界が非常に悪い、あるいは雲が非常に低い場合、ANAでは自動着陸が推奨されています」とのことでした。

 旅客機のシステムは「機種にもよりますが、双発機で片方のエンジンが不作動の状態でも自動着陸が可能な機種もある」(同パイロット)と話すほど、高度な設計がされています。

 ただその装置の使い道は、自動車のオートクルーズ機能のように操作を簡略化するためのものではなく、高い安全性を確保しつつ、悪条件でも目的地にたどり着くための“切り札”のひとつであるようです。

【了】

【広さはいかほど?】ANA超巨大機「A380」のコックピット

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