信号見落としの原因は注意力でなく「目」? 自覚しにくい視野障害 40歳以上は5%が緑内障【Merkmal】

視野障害があるとクルマの運転はできないのか。SIP自動運転セミナー「視野障害と自動運転の交叉点」がオンラインで開催された。自覚されづらい視野障害を早く発見し、安全に運転し続けるにはどうしたらよいか。

存在そのものが「見えない」視野障害とクルマの運転

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信号機の存在そのものが見えなくなることがある視野障害。写真はイメージ(画像:写真AC)。

 自分には青空が広がっているように見えるが、実はそこには信号機がある――黒くなったり歪んだりしているわけではなく、存在が消えていてそこだけ見えない。そんな「視野障害」が少しでもあると、クルマの運転はできなくなってしまうのか。

 2021年7月8日(木)、SIP自動運転セミナー「視野障害と自動運転の交叉点」がオンラインで開催された。

 SIPは、内閣府を中心に産官学・府省が連携して取り組む戦略的イノベーション創造プログラムのことで、第2期は2018年度にスタート(期間は2022年度までの5年)。「自動運転(システムとサービスの拡張)」の分野は、「一般道での自動運転レベル3(条件付き自動運転)を実現するための基盤を構築し社会実装すること」を目指している。

 今回のセミナーはこのSIP自動運転が主催し、神戸アイセンター病院研究センター長で理化学研究所客員主管研究員の高橋政代氏(高の字は「はしご高」)、西葛西・井上眼科病院副院長の國松志保氏が基調講演に登壇した。

 続くパネルディスカッションには高橋氏・國松氏に加え、筑波大学教授でヒューマンファクター・認知工学が専門の伊藤誠氏も登場。司会はSIP自動運転の推進委員会構成員でモータージャーナリストの岩貞るみこ氏が、セミナー総括は同構成員で国際モータージャーナリストの清水和夫氏がそれぞれ務めた。

※ ※ ※

 視野が欠けていき見えなくなる視野障害の代表的な病気は、緑内障と網膜色素変性症だ。欠けていく速度や視野の部分は人によって異なり、左右でも違いがある。この左右で差がある時は両目で補いあって見えるが、欠けた部分が左右で重なると、そこだけ見えなくなる。

 そして見えなくなった部分に信号機があっても、脳が補正して「青空が広がっているように見える」といったことが起こる場合がある。

 緑内障の場合、40歳以上は20人に1人、70歳以上は9人に1人が発症しているといわれているが、欠けている部分が左右の目で異なったり、進行が非常にゆっくりだったりすることから、本人が気付かない場合が多い。クルマの運転で信号灯や信号機、標識の見落としが続いても「前方不注意」「注意力散漫」と思い込み、病気の発見が遅れるケースもあるという。

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コメント

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1件のコメント

  1. 免許は取れちゃいましたが本能的に危険と感じたのでクルマは動かしていません。自転車でも左からの他車の接近に気づかないときがあります(低速のハイブリッド車など騒音が小さいものは特に)。