戦車プラモのスケールでなぜ「建機・農機」? 変わり種「1/35振動ローラ車」が物語る歴史

飛行機のプラモデルで知られる模型メーカー、ハセガワの一風変わった商品が、トラクターやコンバインなどの建機・農機シリーズです。しかもそのスケールは、昔から戦車模型の定番である1/35。どういうことなのでしょうか。

“変わった車両”を飾って楽しむ

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「日立建機 コンバインド振動ローラ ZC50C-5」の完成見本。女性オペレーターのお下げ髪とレバーに手をかけたリアルな仕草に注目(画像:ハセガワ)。

 その後、タミヤの「ミリタリーミニチュア・シリーズ」には、モーター非搭載のジープや、馬2頭が牽引する炊飯車のプラモデル(ドイツ・フィールドキッチンセット)なども加わります。後者は馬の引っ張る炊飯車ですから、もはやモーターの入る余地などありません。車輛とフィギュアを(走らせずに)並べて楽しむ。それはプラモデルの楽しみ方の新しい流れとなりました。

 さらには馬ばかりか、豚の親子やロバ、子犬などを1/35で再現した「動物セット」が「ミリタリーミニチュア・シリーズ」に加わり、「ソビエト戦車兵小休止セット」は微笑みながら休憩している戦車兵の中に、なんと可憐な女性兵士まで含まれていたのです。もう戦車は走らないし、兵士は戦わない。1980~90年代にかけて、1/35スケールは“ちょっと変わった乗りもの(戦車など)”と“動物や女性兵士”が和む模型界の緩衝地帯の様相を呈してきました。

 今回紹介したハセガワの「日立建機 コンバインド振動ローラ ZC50C-5」が1/35スケールであり、女性オペレーターのフィギュアが付属しているという商品仕様は、こうしたプラモデルの歴史を踏まえて見ると、ナルホドと思えるかもしれません。油圧ショベルやトラクターなども加え、すでに10種類を超えたハセガワの「建機・農機」シリーズ。華やかな女性オペレーターだけでなく、渋い男性オペレーターがセットされているものもあれば、2種類の「建設作業員セット」なども発売され、なかなかにぎやかになってきました。

 そのうち、建機・農機の世界で「ミリタリーミニチュア・シリーズ」ばりの展開を見せてくれるかも?などと、模型ファンとしては妄想が広がります。

【了】

【スゴイぞ!】変わり種「ローラー車」プラモの精密感 女性オペレーターも

Writer:

プラモデル業界、アニメ業界を積極的に取材するプロライター。『ホビージャパン ヴィンテージ』の巻頭特集を構成・執筆。著書に『我々は如何にして美少女のパンツをプラモの金型に彫りこんできたか』『親子で楽しむ かんたんプラモデル』など。

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