近鉄の新型車「座席付きフリースペース」で勝負に出る デザイナーに聞く課題と思い
近鉄が新たな一般車両のデザインを発表。車内には「ベビーカーや大型荷物に対応する座席付きスペース」が設けられます。実はこれ、近鉄の今後を左右する画期といっても過言ではない新機軸です。
内装にも新機軸「座席付きフリースペース」
近畿日本鉄道(近鉄)が2022年5月、一般車両として2024年に導入する新型車両のデザインを公開しました。奈良線などを走る新型一般車としては、「シリーズ21」以来24年ぶりとなる見込みです。赤と白を基調としたカラーを踏襲しながらも、従来のイメージを大きく覆すデザインは、SNSなどで話題になりました。
インテリアでも様々な特色が打ち出されていますが、その中でも他社にない特徴 が、一人掛けの座席を備えた「ベビーカー・大型荷物対応スペース」です。1両あたり2か所設置にされます。
このような“フリースペース”は、車いすにも対応するものとして、国土交通省も導入を推進しているものです。通常は車端部に1か所、既存の座席を取り払う形で設けられています。しかし今回は、車両の中ほどのドア横に各2か所。簡易ながら一人掛けの座席も設けているフリースペースは、日本初だそうです。
今回の車両は、既存の5820系電車(シリーズ21)でも採用されているL/Cシート(利用状況に応じてロングシートとクロスシートを切り替えられる)が導入されており、フリースペースの一人掛け座席は、ロングシートの端に仕切りを設ける形で設置されます。利用イメージ画像を見ると、ロングシートの際には横向きに、クロスシートの際には進行方向へ向いて座り、その傍らや足元にベビーカーや大型荷物を置けることが分かります。
車両デザインを担当した株式会社イチバンセンの川西康之さんに聞いたところ、この“仮称フリースペース”は、ある意味、近鉄の今後を左右する新機軸であることが分かりました。
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