淀川に架かる橋「まるまる架け替え」阪神なんば線で工事中 新ホームも出現
阪神なんば線の淀川にかかる橋梁が、15年の事業期間をかけて新しい橋へ架け替えられます。少しずつ姿を現してきた工事の様子ですが、なぜ架け替えが必要となったのでしょうか。
淀川の「ストッパー」解消へ
兵庫県尼崎市と大阪市を結ぶ阪神なんば線は、福~伝法間で淀川を越えます。大阪湾に注ぐ淀川の河口付近に位置するため、川幅も広く、橋梁長さは758.3mにもおよびます。
この淀川橋梁で現在、架け替え工事が行われています。工事は2018年から開始され、2022年4月現在、コンクリート橋脚が続々と姿を現しています。
なぜ橋をまるまる架け替える必要があるのでしょうか。それは、「橋が低すぎる」ことが一番の理由です。
橋のある地点での計画高潮位(堤防高の基準となる最大の洪水・高潮時水位)は基準面+5.20m。それに対し橋桁の高さは基準面+4.28mと、92cmも低い位置にあります。つまり、万が一の高水位の時に、橋桁が水の流れを遮ってしまうことになるのです。また、橋脚も39本あり、やはり水流を阻害する原因にもなっています。
さらに、その低さのため、阪神なんば線の線路は淀川の堤防の一部を切り欠くようにして通っています。洪水時にそこから氾濫するのを防ぐため、線路をまたぐようにして堤防をふさぐ「陸閘」が設置されています。似た構造は、名鉄名古屋本線の呼続駅西側の山崎川橋梁でも見ることができます。
淀川橋梁が架けられたのは1924(大正13)年。それから1世紀近くが経過し、現在の防災基準と建築基準に適合した橋梁へと生まれ変わります。桁下高さは約7m高くなり、橋脚は10本と、現在の4分の1の数に。「堤防が切り欠かれている」状況も解消されます。
車両だけ見ていたら、まるで近鉄の路線のようです。