滋賀~三重を縦断「名神名阪連絡道路」実現なるか 「重要物流道路」指定でまずは「新名神以南」?
和歌山・奈良・三重から北陸方面へ直結ルートが構築されます。
事業化に向けたプロセスにはずみ
名神高速と名阪道を南北に直結する新たな高速道路「名神名阪連絡道路」の構想が、実現に向けて動いています。
名神名阪連絡道路は滋賀県東近江市と三重県伊賀市をむすぶ道路。具体的には、名神の八日市IC、新名神の甲賀土山IC、名阪の上柘植ICと接続する構想ルートとなっています。当初は名神の蒲生ICを起点としていましたが、のちに北側に振った現ルートに変更されています。なお、上柘植ICからさらに南へ約17km、国道165号の青山町付近まで延伸する構想もあります。
この道路が開通すれば、和歌山・奈良方面から北陸方面への直結ルートが誕生します。近畿道や名神の交通流を分散し、災害で寸断された際の代替ネットワークとしての機能も期待されます。
名神名阪連絡道路の構想は、2001(平成13)年に地域高規格道路のひとつして調査が行われました。事業化にむけ、「期成同盟会」や民間の「実現する会」、地元の議員連盟などが草の根活動を行ってきました。
事態が動いたのが、構想から21年が経過したことし4月。国土交通省の指定する「重要物流道路」のひとつに、この道路が追加指定されたのです。重要物流道路は「平常時・災害時を問わない安定的な輸送を確保するため、物流上重要な道路輸送網」に位置付けられた道路で、指定された道路は「機能強化や重点支援が実施される」というもの。つまり、事業化に向けて大きな進展となったのです。
とはいえ、一気に全通するかはまだ不透明。というのも、まずは新名神~名阪間が「計画区間」となり、全国の候補路線に対し優先的に計画されることになります。名神~新名神間は候補路線となり、優先順位は低くなっています。
今後まずは三重・滋賀県境を越える計画区間が、概略ルートや道路構造の検討に入ります。そして都市計画決定や環境アセスメントを経て、いよいよ事業化というプロセスで進んでいくことになります。
滋賀県にとっては内陸部の新たな高速ルートとなる名神名阪連絡道路。甲賀市長も昨年の議会で「この道路の南北軸と新名神の東西軸を活かすべく、新たな工業団地の整備に向け、検討していきたい」と、期待を込めた表明をしています。
【了】
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