「不正改造車は犯罪」しかし取締り難しく 規模を縮小する正月の“暴走”検問 抱えるジレンマ
かつては取締りに動員5000人 いまや激減
年末年始の取締りは、1990年代後半から2000年代前半にかけ、初日の出を見ることをゴールにした「初日の出暴走」の取締りがはじまりです。元日の夜中の首都高速は往来もまばらですが、当時は熱病にうなされているかのような喧噪がありました。数十台が1つのグループを作り、高速道路で低速蛇行運転を繰り返し、その影響で高速道路が何キロにもわたって渋滞を作ることが社会問題になっていました。
それに対して中央道八王子料金所、首都高速大黒ふ頭、山梨県河口湖周辺などに検問が設置され、警視庁ほか周辺県警もあわせて約5000人の警察官が動員されて、取締りにあたっていたのです。
検査のために誘導する警察官に対して、威嚇するようにエンジンを吹かす車両がいたり、荷台にバイクを載せて検問を突破しようとするトラックがあったり。今では考えられない緊張感に満ちた現場でした。
摘発された車両も100台単位で公表されていたのですが、今となっては、時代が逆転する可能性はほとんどありません。集団暴走に対する規制は2004年11月の道路交通法改正で強化され、それと共にグループは小さくなり、取締りの重点は単独での暴走行為や不正改造に移っています。
警視庁は2022年12月29日から2023年1月3日までの6日間を「年末年始暴走族対策」と位置付け、都内各所で延べ771人、車両359台の体制で、可搬式オービスなどを使った集中取り締まりを行いました。当時と比較すると、取締り体制はかなり縮小されています。おそらく今年も年末年始の取締りが続きます。
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Writer: 中島みなみ(記者)
1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。
不正改造、珍走団は罰則を強化した上で取り締まりを徹底してほしい。同時に、まだまだ生ぬるいあおり運転や飲酒運転に対する厳罰化もお願いしたい。こんな奴らによって命を落としたり、生活に支障が出るなんて絶対に許せん!