東京湾に「電気推進タグボート」就航 船曳くパワーとエコ両立の“シリーズハイブリッド”とは
横浜港を拠点に運航する電動のタグボートが就航しました。小さな船体で、より大きな船を曳航することもあり、バッテリーモードと、重油を活用するハイブリッドモードの双方で運航が可能。船を操作するブリッジもかなり近代的です。
船舶版「シリーズハイブリッド」採用 どんなの?
環境にやさしい「電気推進船」が東京湾に登場しています。2022年の電動タンカーに続き、今度はタグボートが運航を開始しました。
東京湾内でタグボートを使用した曳船サービスなどを手掛ける東京汽船(横浜市)は2023年1月12日、新たに就航した電気推進タグボート「大河」(約280総トン)を関係者に公開しました。すでに1月6日に就航しており、横浜港と川崎港周辺でその姿を見ることができます。
同船は電気推進船の開発を手掛けるe5ラボ(東京都千代田区)が考案したシステムを動力源として採用。“バッテリーモード”では、GHG(温室効果ガス)などを排出しないゼロエミッション運航を可能にしています。というのも、今回採用されているシステムは「連続型ハイブリッド(Serial Hybrid)」と呼ばれ、電気とA重油の双方を動力エネルギー源とし、バッテリーモードとハイブリッドモードのいずれかで航行できるのです。
バッテリーモードは発電機を稼働させず、搭載バッテリーのみで推進と船内電力などを賄うことが可能。運航中はCO2(二酸化炭素)だけでなく、NOx(窒素酸化物)やSOx(硫黄酸化物)といったものを一切出しません。このモードでは、2万総トン以下の船舶を曳航できるとされています。
より大型の船舶を曳航したりスピードを出したりしたいときは、バッテリーと発電機エンジンを併用するハイブリッドモードで対応します。曳航力は前進で最大54トン、後進で最大51トン、速力は14ノットとなっています。
東京汽船の齊藤宏之社長は就航披露式典にて、発電機とバッテリーの両方を使用する推進システムについて「今、考えられるベストの組み合わせ。騒音や振動を削減し、乗組員にとっても優しく、港の環境にとっても良い」とアピールします。
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