東京湾に「電気推進タグボート」就航 船曳くパワーとエコ両立の“シリーズハイブリッド”とは

横浜港を拠点に運航する電動のタグボートが就航しました。小さな船体で、より大きな船を曳航することもあり、バッテリーモードと、重油を活用するハイブリッドモードの双方で運航が可能。船を操作するブリッジもかなり近代的です。

船がバッテリーをマネジメント 燃費効率を最適化する

 タグボート「大河」は金川造船(神戸市)が建造、推進システムのインテグレートはIHI原動機が手掛けました。従来型タグボートの推進システムとして使われてきたディーゼル主機関に代わり、コルバス・エナジー製の大容量リチウムイオン電池(2486kW/h)とABB製の発電機3基(1350kW)、ラメル(Ramme)製の推進モーター2基(3000kW)を搭載しています。

 推進モーターやバッテリー、発電機はDCグリッド(直流の送配電系統)の母線に接続されており、船全体のエネルギーを制御するPEMS(パワーエナジーマネジメントシステム)によって燃費効率の最適化を図っています。

 PEMSはバッテリー残量の監視も行っており、負荷状況に応じて発電機エンジンの起動、停止、出力配分の制御を行います。ハイブリッドモードではディーゼル発電機を使用するものの、従来に比べてCO2をかなり削減できるとのことです。

 また、発電機関の燃料消費量とあわせて、リチウムイオン電池の充放電量、推進モーター出力など重要なパラメータを解析し、制御プログラムをアップデートすることで、よりエネルギー効率の良いシステムへ改修していくこともできます。

 推進装置はIHI原動機の電動モーター搭載「Zペラ」を採用しました。Zペラは全旋回式推進装置 (アジマスプロペラ)の一つで、プロペラの推力方向を360度全方向に自由に変えられる構造を持っています。「大河」のZペラは、上部に水冷式PM(永久磁石)モーターを置くL-Drive(モーター垂直配置)にすることで、エネルギーロスを低減化し伝達効率を向上。従来のタグボートでは必要だった中間軸や上部ギヤボックスなどが不要となり、メンテナンスコストの大幅な削減が可能になっています。

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電気推進タグボート「大河」は東京汽船が運航する(深水千翔撮影)。

 これらシステムの稼働状況は、360度の視界を確保したパノラマ型ブリッジに装備されたハイブリッドモニターで把握できるようにしました。

 齊藤社長は今後の展望について「今は重油を使っているが、ここをバイオ燃料に変えていく。また、バッテリーは高密度化、軽量化、より安価なものになることで、完全ピュアバッテリー化の方向に向かっていくこともあり得る」と述べた上で、「将来的には再生可能エネルギーを使えば上流から下流までゼロエミッション達成が可能になるのではないか」と語りました。

【了】

【ブリッジかっけええええ!】電動推進タグボートの船内ほか(写真で見る)

Writer:

1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。

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