H3ロケットも“爆破”「指令破壊」はなぜ行われるのか そのコマンドを送信する瞬間
指令破壊後のロケットはどうなるのか
指令破壊後のロケットは、地球上に落下します。この際、安全な場所に落ちるように事前に計画が立てられています。
H3ロケットの場合、SRB3(固体ロケットブースタ)は種子島東方沖、フェアリング(衛星カバー)は沖縄東方沖、第一段はフィリピン沖、というような計画となっています。
ロケットの飛行コースは、人工衛星の目的とする軌道によって事前に決まり、ロケット各段を分離するタイミングも事前に計画が立てられています。すると、分離した各段が落ちる場所が計算でわかります。打ち上げ時は事前に国際機関を通じて海上も空中も航行の安全情報が出され、船や飛行機などはその時間に該当する区域を避けることになっています。
機体は落下中に空気抵抗である程度バラバラになりますが、宇宙空間から再突入するわけではないため、燃え尽きることはありません。海面衝突時のショックで更に細かく破壊されたロケットの破片は、そのまま太平洋に沈みます。H-IIロケットでは海底から回収したこともありましたが、今回はその予定はないと言うことです。
衛星打ち上げロケットの成功率は、世界的に見て90~95%が標準です。ましてや今回の打上げは正式に言えば「試験機1号機」です。とはいえ、搭載衛星の「だいち3号」は、初代「だいち」喪失以来12年ぶりの光学陸域観測衛星でしたから、とても残念でもあります。
筆者(東京とびもの学会)としては、H3ロケットには今回の失敗を糧としてさらなる改良を行い、信頼性の高い機体に育って欲しいと願っています。ロケットは積荷の衛星がいてこその存在ですから、ユーザに選ばれるためには実績作りが大事です。また、打ち上げに失敗してしまった「だいち3号」にも、再打ち上げの機会が早く訪れるように祈ります。
【了】
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