駆逐艦「島風」が高速を追求したワケ 竣工は1943.5.10、遅すぎたか…?

旧日本海軍の駆逐艦「島風」が1943年の今日、竣工しました。「島風」は“俊足”で知られますが、これは先代の「島風」が40.7ノットで航行したことにちなみ、速さを追求したから。2代目には、水雷戦隊としての戦闘が期待されました。

水雷戦隊としての本領発揮はできたのか

「島風」の初陣は、アリューシャン列島のキスカ島撤退作戦でした。時は1943年7月、徐々に戦局が悪化へと向かっていたころです。霧にまぎれながらの作戦でしたが、速さを活かし陸海軍将兵5000人以上を撤退させています。

 その後は南方へ転進しますが、物資輸送や護衛任務に従事するのみで、水雷戦隊として戦う機会は訪れません。制海権もアメリカ軍に掌握されていき、海中(潜水艦)から、もしくは空(空母艦載機)からの攻撃により、戦隊を組む僚艦が撃沈されていきました。

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1944年10月、レイテ沖海戦(シブヤン海海戦)で沈没寸前の戦艦「武蔵」。「島風」はその乗員を救助している(画像:アメリカ海軍)。

 1944(昭和19)年10月、日本はフィリピンのレイテ島をめぐる戦いでアメリカと激突します。旧海軍は空母機動部隊が事実上壊滅、また世界最大の戦艦「武蔵」も失うなど大敗北を喫しました。

「島風」も参戦しましたが、水雷戦隊として本領発揮はできず、戦艦部隊の護衛などが主任務でした。24日には沈没した「武蔵」の乗員を救助しています。翌月、「島風」は物資輸送のためレイテ島へ向かいました。

 11日、ほかの駆逐艦とともに航行する「島風」に、300機を超えるアメリカ軍機が襲来。激しい空襲を受けますが、“武器”である俊足を活かし回避行動をとります。しかし至近弾などにより機関故障を起こし航行不能となり、ついに爆沈してしまいました。場所はレイテ島北部のオルモック湾でした。

 竣工から1年6か月。旧海軍が当初想定した戦闘は最後まで行われませんでした。「島風」が誕生したころには、すでに海戦のあり方そのものが変化していたといえるでしょう。同型艦は当初16隻が建造される計画でしたが、結局 建造されたのは「島風」1隻に留まっています。

【了】

【写真】「島風」の最期

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