「宇宙戦艦」かよ!? 来日したイタリア艦、驚愕の近未来ぶり ブリッジはほぼ“コックピット”

艦長の説明で『宇宙戦艦ヤマト』が脳内再生

 モンノ艦長の解説でひときわ目を引いたのが、「海軍コクピット」(Naval Cockpit)と呼ばれた最新鋭の操縦システムでした。これはブリッジ前方に配置した左右の2席で、左が操縦士、右が副操縦士となります。2つの座席前には3つのメインモニターがあり、レーシングカーの様なハンドルや、レバーおよびフットペダルで操船を行い、操縦桿風のスティックで各種火器を操作して集中管制も可能な、まさに航空機のコクピットを思わせる未来的な操縦席でした。

 これまでの艦船は乗員が立ったまま舵輪を回して操船を行う方式が一般的でしたが、この最新鋭艦はそれまでの考えを一新するシステムでした。実際にモンノ艦長が左の操縦士席に座り模擬操船のデモを行いましたが、まさしくSFの宇宙戦艦を思わせるものでした。

 ここで筆者の脳裏によみがえったのが、アニメ『宇宙戦艦ヤマト』の主題曲。前日の埠頭への接岸時、海上自衛隊の横須賀音楽隊が演奏した歓迎マーチとしても用いられており、イメージがピッタリでした。

 またコクピット後方には艦長も含む当直指揮官の専用席があります。ここは、使用時に三方の隠しモニターがせり上がる仕組みになっていて、これもまた未来的な構造でした。これらの装置により、ブリッジ内の省人化・省力化が計られているのだと思われます。

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後方から前方を見たブリッジ内部。手前には当直指揮官席が、その奥には2つの座席からなる「海軍コクピット」が設置されている(吉川和篤撮影)。

 その後、ブリッジを降りて船体後方へ移動、ヘリコプター格納庫とSH90ヘリコプターを見学。同機はフランス・ドイツ・オランダ・イタリアの4か国が共同開発した軍用ヘリコプターで、これも日本国内で見られるのは貴重な機会です。

 そして最後は、艦首側に移動してオート・メラーラ製の64口径127mm砲を見学。この艦載砲は1分間に40発撃てる速射性を誇り、イタリア海軍では2012年から配備が始まっています。ちなみに同社製の62口径76mm砲はその性能の良さから、海上自衛隊の護衛艦などにも多く採用されています。

 こうして艦内ツアー見学は1時間ほどで終了しましたが、最新鋭艦の心臓部であるCICや最新式のコクピットシステムを公開するあたりに、イタリア海軍なりの自信の現れを垣間見た思いがしました。

 哨戒艦「フランチェスコ・モロシーニ」は6月27日の朝に出港予定なので、機会があればヴェルニー公園やYOKOSUKA軍港めぐりの遊覧船から外観を見学してみてはいかがでしょうか。

【了】

【SF映画以上に未来的】船と思えないほど先進的な「モロシーニ」の操縦席ほか(写真)

Writer: 吉川和篤(軍事ライター/イラストレーター)

1964年、香川県生まれ。イタリアやドイツ、日本の兵器や戦史研究を行い、軍事雑誌や模型雑誌で連載を行う。イラストも描き、自著の表紙や挿絵も製作。著書に「九七式中戦車写真集~チハから新砲塔チハまで~」「第二次大戦のイタリア軍装写真集 」など。

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