人類が到達した「最も速いスピード」はどれくらい? 宇宙はレベルが違った

太陽系を離脱するのに必要な速度とは?

 第二宇宙速度は、地球の重力を完全に振り切るために必要な速度です。地球の重力上に安定するよりさらに速度が必要で、そのスピードは約11.2km/s(4万300km/h)となります。

 この速度を出しているのは全て無人の探査機のみです。唯一、この速度に近い数値を有人機として出したのは、アメリカのアポロ計画に使用されたサターンVロケットで、その速度はマッハ33(11.08km/s)。これは2023年現在も有人の乗りものでは最速になっています。

 第三宇宙速度は、太陽の重力圏を振り切り、太陽系から離脱することができる速度です。これまで人類が打ち上げた数ある探査機の中でも、この第三宇宙速度を出しているのは、パイオニア10号、11号とボイジャー1号、2号、ニュー・ホライズンズの5機のみで、全てNASAが打ち上げたものです。

 その速度は、約16.7km/s(6万100km/h)と、1秒間に17km近く移動するとんでもない速度です。「スイングバイ」と呼ばれる、天体の重力を利用した加速を繰り返し行わないと出すことができません。

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サターンVロケットのブースター(画像:パブリックドメイン)。

 ちなみに、地球から最も遠くに到達している探査機はボイジャー1号ですが、同機は1977年9月に打ち上げられ、ようやく2012年8月に探査機として初めて太陽圏を脱しました。しかしここは星間空間といわれる場所で、まだ太陽系からは離脱していません。ボイジャー1号が隣の星系につくのは約4万年後といわれており、宇宙が途方もない大きさなのがうかがえます。

【了】

【え…】これが「いま人類から最も遠くにいる人工物」です(写真)

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