列車行っちゃった…定刻20分前なのに!? 遅延回復のために「早発」許されるワケ 振り回される乗客

ドイツ国鉄では、遅延回復のために「定刻よりも早く発車」するということが平然と行われるといいます。当然、目当ての列車に乗れなくなる乗客も発生します。

遅延回復に「なりふり構わぬ」背景とは

 まず、日本で早発は「鉄道営業法」という法律の「鉄道運輸規程」の第22条で禁止されている違法行為ですが、ドイツではこれが違法ではありません。

 加えて、ドイツでは鉄道のチケットがかなり前から販売され、事前に買えば買うほど格安に旅行ができる「早割り」のシステムが浸透していることも一因です。乗客にとってはメリットもあるこの仕組みですが、あまりに早くにチケットを販売してしまうため、その後に工事の計画が入って遅延回避のためにダイヤを見直そう(早発)とする時にはチケットの販売済みで“被害者”が出るわけです。

 早発の場合、出発時刻の変更をチケット購入者にアプリやメールで連絡することとなっていますが、中にはソフトウェアの不備などで事前通達が一切なく、駅に到着した時に初めて「すでに発車済み」だということに気づくケースもあるようです。また、予定より早く発車したのに目的地に着いたのは結局定刻より遅かったという事例もあるため、何のための前倒し運行だったのかと、振り回される乗客の腹立たしさは想像を絶するものになります。

 ドイツ鉄道と言えば時間に正確というイメージを抱いている方も多いと思いますが、実際は遅延だらけ。ドイツ国鉄が発表した2023年7月の長距離列車(高速鉄道ICEと急行列車インターシティ)の月間定刻率は、なんと「64.1%」というありさまです。

 しかもこの定刻率すら「6分未満の遅延は定刻」という謎の定義の下で算出したもので、ずさんな運行状況が常と言ってもいい状態が続いています。ドイツ国鉄は慢性的な遅延で非難され続けているため、定刻率を水増しするために編み出した”奇策”が早発なのではと疑いたくなります。

 ちなみに、そんな案件に巻き込まれて予定の電車に乗られなかった場合、どのような補償を受けられるのでしょうか。ドイツの大手出版社系オンライン雑誌「トラベルブック」によると、乗車券は時間指定があるチケットだったとしても、「同日ならばどの時間帯の列車にも乗車可能」になります。

 ただ私の経験上、指定席は無効になるケースが多いです。例え、一等車に指定席を確保していたとしても、別の列車では使えないため、もしも乗り込んだ列車が混んでいた場合、立って行かなくてはなりません。これは、日本の新幹線や特急で指定席を取った列車に乗れなかった場合と似た扱いです。また、鉄道移動自体を取りやめる場合は、全額補償も受けられる可能性があります。

【了】

【画像】えっ…! これが「世界一長い駅名」です

Writer:

アーティストとして米CNN、英The Guardian、独Deutsche Welle、英BBC Radioなどで紹介・掲載される一方、鉄道ジャーナリストとして日本のみならず英国の鉄道雑誌にも執筆。欧州各国、特に英国の鉄道界に広い人脈を持つ。慶応義塾大学文学部卒業後、ロンドン大学SOAS修士号。

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コメント

2件のコメント

  1. 日本では早発厳禁だと思っていましたがドイツの話ですか。

    紛らわしい。

  2. 京王の橋本駅で特急新宿行きの3分前にでるはずの快速本八幡行きになる車両が遅延のため橋本~京王多摩センター区間運休となり

    特急新宿行きが、臨時に橋本~京王多摩センターの各駅にとまるため定刻より3分早くでたことあったけどなぁ。約20年前にですが。

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