わずか4年で敗北宣言!「礼をつくすクルマ」として日本に進出 “良くできた外国車” だったのにナゼ?
1997年に日本へ進出したGMのサターンブランドは、値引きなしのワンプライス販売とホスピタリティ溢れるサービスを売りにしていました。しかし、話題になったものの4年で撤退。なぜサターンは日本で受け入れられなかったのでしょうか。
サイズや排気量が小さく、燃費が良ければアメ車は売れるのか?
「サイズがデカすぎる」「排気量がムダに大きすぎる」「燃費が悪すぎる」などといった理由から、日本ではアメリカ車は売れないと言われています。それでは日本車並みのサイズと排気量、優れた燃費性能、適正な販売価格を備えていれば、アメリカ車は売れるのかと言えば、そうとも限りません。

日本とアメリカではクルマに求めるニーズ、嗜好やライフスタイル、商習慣などが異なることから、それらは日本で商業的に成功するための必須条件であって十分条件ではありません。
そのことを如実に物語っているのが、「礼をつくす会社、礼をつくすクルマ」のキャッチコピーで日本に進出したGM(ゼネラル・モーターズ)のサターンでした。
1970年代のオイルショック以降、アメリカ市場を席巻していた日本車に対抗すべく、GMが35億ドルの巨費を投じて立ち上げた新ブランドがサターンです。GMは、日本車やドイツ車を好む裕福なホワイトカラー層をターゲットに、従来のアメリカ車にはない高品質、リーズナブルなメンテナンスコスト、優れた燃費と環境性能を持つコンパクトカーを販売するチャンネルとして、サターンを1985年からスタートさせました。
ブランドの立ち上げに先立ってGMが実施した市場調査によると、アメリカにおける新車ディーラーとセールススタッフのイメージは、「誠実さに欠ける」「信頼できない」「女性のみでは入りにくい」という悪評が多数を占めていました。とくにアメリカ市民のあいだでは、販売時の価格交渉(値引き交渉)によって、購入金額に差が生じることを「アンフェアである」とする意識が強く、ネクタイにスーツ姿といういかがわしい装いで働くセールススタッフとはできれば関わりたくない、という声まで調査結果で明らかになるほどでした。
これを受けてGMは、サターンの販売網を展開する際にイメージアップのためのさまざまな施策を打ちます。たとえば「ディーラー」でなく「リテーラー」と呼ぶようにしたほか、セールススタッフのスーツ着用を禁止しました。代わりに、ポロシャツとチノパンの組み合わせによるカジュアルな制服を導入。これにスタッフの服装を統一したうえで、セールスマンには顧客から声が掛かるまで営業活動を行わないといった接客マニュアルを徹底させました。
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