戦車の中、誰が何をしてるの!? 実は車内には「3人」or「4人」…知られざるそれぞれの役割

現代のいわゆる主力戦車(MTB)では、3~4人の乗員が動かしています。それぞれどのような役割を持ち、なぜ人数が異なるのでしょうか。

そもそも戦車はどのように動かしている?

 陸戦の王者ともいわれる戦車。この装甲に覆われた巨大な砲を持つ車両を手足のように自由自在に操り、戦場で活躍させるためには、乗員たちの息の合った連携が必要になります。現代のいわゆる主力戦車(MTB)では、3~4人の乗員がそれぞれの役割をもって、お互いをフォローし合いながら動かしています。それぞれ、どのような役割を持っているのでしょうか。

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90式戦車の3名の乗員。自動装填装置のある90式戦車は車長、操縦手、砲手の3名で構成(凪破真名撮影)

 まず、一番重要なポジションとも言えるのが車長です。車長はその名の通り、その戦車の長で乗員を指揮する立場にあります。また一部の車長は、部隊の小隊長や中隊長も兼任しており、自分の戦車だけでなく、周りの戦車の動きにも細かく気を配り、指示を出さなくてはなりません。現在は状況が変わりましたが、かつて車長は、戦闘地域などでハッチから顔出し、周囲に気を配ることもしばしばでした。現在も、平時に戦車が公道を使って移動する場合は、一般車両に気を配るため、上半身を出し後方確認などをすることもあります。

 戦車乗員は、上部ハッチから出入りを行い、砲塔の中やその下に乗務しますが、ただ、ひとりそこから外れて車体前方に陣取る乗員がいます。それが操縦手です。

 現在MTBと呼ばれる戦車においては、操縦手は基本的にほかの乗組員と離れた位置にいます。指示も基本的に車長から車内無線で聞きます。原則、乗員保護の目的から、クルマの窓ガラスの代わりに「ペリスコープ」と呼ばれる細いのぞき窓があり、それで周囲の状況を確認して操縦します。なお、敵のいないエリアや普段の移動の場合、視界を確保するため車体から頭を出して操縦することもあります。

 戦車は公道を走る乗用車に比べると、遥かに大きく見えます。しかし、装甲や各種機材や部品などにスペースを取られていることから、実は運転席内はかなり狭いのです。

 アメリカ軍のM1「エイブラムス」戦車を例にすると、座席に少し仰向けに近い形で体を倒すように座り、ペリスコープから車外を確認しながら操縦します。現代戦車の操縦用のハンドルは円形ではなくT字のバー型で、感覚は車よりもバイクに近いといいます。なお、16式機動戦闘車などの装輪車両は大型トラックのような丸いハンドルとなっています。

【慣れないとキツそう…】これが、戦車の運手席です(写真)

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