「通学路/スピード違反/無免許」3拍子揃った重大犯 なぜか公表しない千葉県警 「交通違反=犯罪の意識低いのでは」

全国一斉で行われた通学路での交通取締まりで、千葉県警が速度超過の違反者をさらに無免許運転の疑いで逮捕しました。この取締りにおける全国唯一の逮捕ケースであり、悪質性の高い事案ですが、なぜか積極的に公表されていません。

県警の発表には出てこない“疑い”事案

 2023年9月29日、秋の全国交通安全運動の中で「通学路における全国一斉取締り」が行われました。千葉県では全部で539件の違反が摘発されましたが、このうち速度超過の運転者が、さらに無免許の疑いがあるとして、千葉県警が捜査していることがわかりました。

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スクールゾーンのイメージ。適用時間帯に進入してくる通行違反車が、一斉取り締まりで大量に摘発された(画像:写真AC)。

 速度超過で摘発された後に、運転者が無免許運転の疑いで捜査される事件は、9月29日の全国一斉取締りでは、この1件だけです。

 運転者は制限速度40km/hの道路を21km/h超過の61km/hで運転していたところを、最高速度違反で検挙されました。この際、運転者は免許を所持しておらず、千葉県警は無免許運転の可能性も含めて運転者を逮捕。大幅な速度超過を除き、速度違反での“逮捕”は珍しく、この日の取締りで全国唯一の逮捕ケースにもなっています。

 ただ千葉県警は、この取締りの実施結果をとりまとめる時点では無免許運転であることが確定していないとして、速度超過をした違反者が無免許の疑いであることを公表しませんでした。また、後述の実施結果の無免許運転の件数に、この違反者が含まれるかどうかも明らかにせず、統計上の記録でも定かではありません。

 交通指導課への聞き取りによる千葉県の通学路における全国一斉取締り実施結果は、以下の通りです。

・通行禁止:334件
・一時不停止:82件
・最高速度違反:62件
・歩行者妨害:34件
・携帯電話使用等:8件
・無免許運転:3件
・飲酒等:0件
・そのほか:16件
・総数:539件

 交通違反の中でも交通事故に直結する次の3パターンは、「悪質性・危険性の高い違反」として、全国の警察が重点的な取締りに取り組んでいます。

・無免許運転
・飲酒運転
・著しい速度超過等

 千葉県警が摘発したこの事例は、無免許と速度超過が重なった違反とみられ、この取り組みが求められる事例のはずです。

悪質性・危険性の高い違反「積極的なアピールを」

 特に千葉県では、八街市で下校中の児童5人を死傷させた飲酒事故が2021年に発生。この事故をきっかけに、文部科学省が主導して学校での通学路の点検を徹底させたり、国土交通省や地方自治体が通学路の歩車分離を進めたりするなど、行政全体での取り組みを全国で加速させています。

 交通事故で子どもを失ったある家族は、千葉県警の対応についてこう話します。

「こうした違反が登下校の時間帯に見つかったのは大きな成果。重要なことだと思う。しかし、こうした違反は犯罪として、警察も積極的に交通安全をアピールすべきだと思う。交通事故も犯罪であるという意識が、司法も含めて低い気がしてならない」

 通学路の安全安心は、歩行者である児童・生徒だけでは実現できません。

【了】

【ちょっと違反多すぎ…】これが「たった4時間の通学路一斉取り締まり」の結果です(画像)

Writer: 中島みなみ(記者)

1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。

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